翠と橙(みどりとゆず) vol.111 橙、「でも…、あの時は…ありがと。重かったでしょ。」
薫郎、
「はは。ゆず、なんだか…田島川社長と専務に、気に入られたみたいだからね~~。」
橙、そんな薫郎の声に赤くなって…。
「でも…、もう…あんなに緊張する事も…ないかも…な。」
他の営業スタッフは電話をしている。
橙、薫郎の声に、思わず、顔をクシャリとして、
「ぶ~~。」
薫郎、
「ははは。」
橙、
「でも…、あの時は…ありがと。重かったでしょ。」
そんな橙に薫郎、目を真ん丸にして首を傾げ、口を真一文字に、
「ん~~???」
「もう~~、杉浦先輩っ!!!」
「かかかかか。」
そして…。
「…んじゃ、行ってくる。ロンドのみなさんによろしく。」
ドアの傍で靴を履きながら薫郎。
「う~~ん、行ってらっしゃい、私も…もうすぐで…出掛ける~~。」
大凡20分後、翠、
「雅樂じぃ、じゃ、行ってくるね~~。」
歯磨きをしながら雅樂、
「おぅ~~。あれ…???いつもより…遅いんじゃ…???」
「うん。今日は出張、名古屋まで~~。」
「おぅ~~。そっか…。かかか。」
頷きながら、
「行っといで~~。」
うがいをして雅樂、
「あいつ、この前…どうしたんでぃ。」
絃から裏の玄関で柱に凭れて眠っていたと聞いていた。
「全く分からねぇ。」
時計を見ながら翠、
「9時…47分…。のぞみ…315号…。はいはい。」
新幹線に乗り込みながら…。チケットを見て…、
「え…と…。」
まばらに席は空いている。
チケットの座席番号を見ながら、荷棚の座席番号を…。
「8E…、8E…。…と、ここだ…。あの…、すみま…。」
手前に座っている男性を見て、
「えっ!!!」
男性も雑誌を見ている目を左上に向けて、
「えっ!!!」
翠、いきなり自分の目に飛び込んできたひとりの男性の顔を見て、
いきなり目を閉じて、胸に手をやり、言葉を詰まらす。
男性、目をまん丸く、いきなり、
「え~~~~~!!!」
翠、いきなりストンと、腰を落とす。そのまま顔を伏せて。
男性、そのまま口を閉じたままで、左で体を丸くして顔を伏せている女性を見て、体を震わす、
それも可笑しがって。
「ぷぷぷぷ。くくくくく。」
翠も次第に体を震わせて、
「ぷぷぷぷ。くくくく。」
男性、今度は雑誌に顔を埋めて、
「かかかかかかかか。」
翠、ようやく、座席の肘掛に左手をトン。
「ちょっと~~~。」
男性今度は雑誌を顔に埋めたままで、シートの背もたれに、ドン。
「かかかかかか。」
翠、ようやく立ち上がって、
「ん…もぅ~~~。び~~っくり~~。何、この偶然…。」
男性、ようやく雑誌から顔を出して、
「かかかか。それはこっちのセリフ~~。いやいやいや。びっくり。何…、仕事…???」
翠、
「うん。名古屋…出張~~。」
その声に男性、また目をパチクリ、
「はい…???」
翠、口を尖らせて、
「ふん…???」
男性、
「マジで…???…って言うか…。」
いきなり右肘掛を上に、体を窓際にずらせて、
「あっ、窓際の方が…???」
翠、
「ううん…。別に…2時間弱だもん。」
座席に収まって。左肘を左肘掛に…。そして左手を額に、
「もぅ~~。びっくりした~~。」
男性、
「ねぇ~~。」
翠、右肘掛に載せている男性の左手をペン、
「ユウマ~~。もぅ~~。」
巽、
「かかかかか。おはよう~~何々、こっちがびっくりだよ。まさかみどが乗ってるなんて…。」
「ねぇ~~。思わないよね~~。」




