翠と橙(みどりとゆず) vol.109 万美の声に翠、ドキン。
巽から、食品を受け取りながら飛香、
「やっちゃった。…余計な事…。」
舌をペロリと出して。
巽、
「ははははは。ドンマイ、ドンマイ。」
そう言いながら、いつもいるはずの橙と翠の席を見て、
「……。」
飛香、チラリと巽を見て、そして翠と橙の席を見て、
「ゆずとチーフ、いないね。」
巽、
「えっ…???あぁ~~。ははは。」
ドアを開けるまでの鼓動の高鳴りが、今はもう…収まっていた巽。思わず、
「ふぅ~~。」
息を吐く。
飛香、
「ん~~???どうしたの…???」
巽、
「あ~~いえ…。はい、これ、鑑さん…。」
「わっ、嬉しい~。名前…憶えてくれた~~ははは。」
「まぁ…、お客さまの…場合…、仕事…ですから。はい。」
ガラス張りのミーティング・ルーム。椅子に座った途端に翠、
「あれ…???」
そして腕時計を見て、
「あ~~ん、そんな時間~~。」
橙、翠に、
「はい…???」
翠、顎で橙に合図。
橙、後ろに振り向いて、巽を見つけて、
「あ~~。」
翠、巽に向かって、頭だけ、お辞儀加減に。
橙は左手を肩まで上げて振る。
翠、
「みんなに見つかるよ、ゆ~~ず。」
橙、翠に向き直って、
「あっ。はい。」
ペコリと頭を下げて…。
翠、巽の方を見て、
「終わったみたい。」
右手を肩の位置まで。そしてひらひらと。
「さて、ゆず。」
橙、
「はい。」
「コバちゃん、あなたに、フレバー、担当して欲しいって。」
その瞬間、橙、
「へっ…!!!!うそ。」
翠、クスリと笑って、
「なんでわたしがうそつかなきゃなんない…???」
にっこりと。
橙、
「えっ…!!!あっ。いや…。そんな…私…。」
何やら慌てて、焦点が合わない橙。
そんな橙を見て翠、
「かかかか。何、慌ててんのよ。」
「あっ。いや…。だって…私…。」
「コバが、そう言ってるんだから…。頑張んな。」
橙、頭を右に左に…、
「え~~~。」
「ま~~ね。入社して、そんなに月日も経ってないのに…。他の人から比べれば…、ゆずの場合…、半年ほど…早い…???」
橙、頭をコクリと。
「杉浦さんからも…そう言われた。」
「頑張れ。私もバックアップする。」
その途端、橙、にっこりと、
「はい。お願いします。」
「おぅ。さて。丁度、時間かな~~。お昼、お昼~~。」
「ゆず~~。あんたの…机の上、置いといたよ~~。」
万美。
橙、
「ありがとう~~ございます~~。」
尋音、
「行こか。お昼。」
「はい。」
そして万美と尋音、そして橙がラウンジに向かう後を、
翠の後ろをソロソロと歩いてくるひとりの姿。
翠、
「かかかか。おいで。」
「はい。」
飛香である。
そしてテーブルに着いて翠、橙に、
「飛香も一緒に食べたいんだって。」
橙、
「ははは。はい、飛香ちゃん。」
飛香、ニッコリと。
万美、
「…で、みど…。さっき…、何か…???」
尋音も、
「……。」
翠、
「ふん。ゆず、フレバーの担当になった。」
いきなり尋音、
「凄ぇぇぇぇぇぇぇ~~。出世~~。」
万美、
「おんや、おやおや。」
橙、照れながら、
「ありがとうございます。」
万美、
「当然、みど…、バックアップ。」
尋音、
「だよね~~。」
翠、
「ふん。そのようで…。」
尋音、
「がんばれ、ゆず~~。いよいよ、本格的に、始動~~。」
橙、にっこりと、
「はい。」
万美、
「そんで~~。昨日の関口恵、どうだったの…???」
その万美の声に翠、ドキン。




