翠と橙(みどりとゆず) vol.108 「初めて見る。うん。…それに、みどと…どう…???」
絃、忙しく動きながら…、そして、洗い物をしながら…、
「あの人…、誰…???」
頭を傾げて、
「初めて見る。うん。…それに、みどと…どう…???」
薫郎は作った食事を食べながら、テレビでバラエティを…。
翠、バスタブに浸かりながら、
「わたし…。どうやって…、帰って…。あの…ベンチ…から…???」
どう記憶を辿っても、全く思い出せない。
「ユウマ…???」
頭の中に巽の顔が…。そして、少し顔を赤くして、
「まさかね~~。遊馬君が…。ユウマ…。10年前と…、さすが…、分かんないよ…。」
結婚式場からの巽との事が次から次へと思い出される。
翠、
「わぁ…。」
そして、そのまま体がずるずると、オデコまで。
3秒後。お湯から顔が出て、
「うわっぷ。」
「ユッキ―、上がったよ~~。」
「おっしゃ。入る、入る。うん。」
朝9時45分。いつも通りの忙しいムードのジェシカのフロア。
テーブルの上では数名のスタッフが、あれこれと雑誌、資料、
その他サンプルなどなど、確認と打ち合わせ。
そして片やあちらこちらのデスクでは、パソコンとにらめっこしながらもカタカタとキーボード。
そして電話を耳に仕事をしているもの…。
あっという間に時間は過ぎていく。
そんな中で呉羽、
「みど。」
翠、
「ハ~イ。」
呉羽のデスクに翠。
「例のロンドへの挨拶、来週、火曜に決まった。」
翠、
「来週の火曜日…。ハイ。分かりました。」
「そっちのスケジュールは…OKね。」
「えぇ~、特に問題はないかと。」
「そっ、じゃ…お願い。」
「はい。」
「…っと~~。それから、もう一件。」
翠、
「はい…???」
頭を傾げて。
呉羽、翠を手招き。
翠、呉羽の傍に…。
呉羽、両肘を机の上に着けて両手を合わせて、小さな声で翠に…、
「ちょっと…無謀かも…知れないんだけど…。」
「はぁ…。」
「フレバーのウチの担当…、ゆず…。に…する。」
翠、
「わ~~お。」
「営業は、ユッキが付くから。」
「ふ~~ん。」
数回、頷きながら、
「いい…かも…。ふん。コバちゃんが、そう決めたんなら。」
呉羽、
「ありがと。バックアップは…、お願い。」
「了~解。」
橙、何枚ものサンプルが掛けられたショートラックを押しながら、
「愛海さ~~ん、これですよね~~。サンローズのサンプル~~。」
椅子から立ち上がったままで、画像にボールペンを当てている玲於奈愛海、
「あ~~。うん、それそれ~~。ありがとゆず~~。」
橙、
「いえいえ。」
両手をパンパンとさせながら、自分の席に。
翠、
「ゆず~~。ちょっといいかな~。」
橙、
「あっ。はい…???」
そしてふたりでミーティング・ルームに…。
尋音、万美、ふたりを目で追う。
「……。」
そこにドアを開けて巽、
「毎度で~~す。お世話様です~~。」
「あ~~。こんにちは~~。お世話様で~~す。この前は…ごちそうさまでした~~。」
経理から戻ってきたばかりの飛香である。
「あ~~れ~~、飛香~~。この前は…ごちそうさまでした~~って、何々~~???」
椅子に座ったままで後ろ向きに左腕を背もたれの外に椎名璋子、
「あ~~れ~~???にししししし。」
左拳を口に当てながら…。
「な~~に、後輩をからかってんのよ、璋子、そっちのその生地サンプルお願い。」
咲茉。
思わず顔を赤らめる飛香。
巽、
「かかかか。」
飛香、
「あっ。私…お手伝い、しますか…。」
「おっ、ありがと。」




