翠と橙(みどりとゆず) vol.107 「なんで、私…ここにいる…???家に帰っちゃってる。」
そして翠、
「…ん…???絃…???」
そして前を見ると、
「あれ…???ユッキ…???」
そして、首を左右に、目をキョロキョロと。
「あれ…???ここ…???…えっ!!!」
そして、今度は口に手を当て、
「えっ、え―――――――――っ!!!!…なんで、私…ここにいる…???家に帰っちゃってる。はれ…???」
絃、
「もう~~。」
翠の左肩をトンと叩いて、
「びっくりしたよ~~。みど~~。」
翠、何がどうなっているのか…、頭を傾げて、口を尖らせ、目をキョロキョロと。
「なんで…???」
そして腕組みをして。右人差し指を目の前に、何度も立てて、
「あ~~れ~~???」
薫郎、
「な~~にやってんだか。かかかか。珍しい。…って言うか、初めてだ、みどが玄関で寝てんの。」
絃、
「もぅ~~。ほんとだよ~~。何か…事故にでもあったかと思った~~。」
翠、そんな薫郎と絃に、舌をチロリと出して、肩をすくませ、
「私、寝ちゃってたみたい。」
そして腰を上げて、
「ただいま。」
そして、
「ふぅ~~。あっ、お客さん、どう…???」
絃、
「うん。今…落ち着いてる。」
薫郎、
「俺も今、上がったところ、雅樂じぃ、もう大丈夫だって。」
翠、
「ふ~~ん。そっ。」
絃、
「じゃ、私、戻るね。」
「ごめんね、心配掛けちゃって。」
駆け足で店に戻っていく絃。
薫郎、
「関口恵。」
翠、
「ふん。コレクション。さっすが~~。凄いよ。あの新作は話題なる。」
「ほぅ~~。あっ、飯は…???」
「さすがに終わったの8時過ぎだもん。途中で食べてきたよ。」
「かかかか。確かに。」
雅樂、裏から戻って、空いたテーブルを拭きながらの絃を見て、
「……。」
そして、
「2番さん、豚バラ丼、上がったよ~~。」
絃、
「はい。」
そして、
「雅樂じぃ、みどさん、帰ってきた。」
雅樂、
「ふ~~ん。…何か…あったか…???」
「ふん…???後でね。」
「おぅ。」
電車の中、一度はシートに落ち着き巽、セカンドバッグの中から一枚のカード、
「焼き鳥…雅楽…か…。」
初めて訪れた逢坂翠の住んでいる店。
「うん。いい匂い…させてたな~~。」
右側から、杖を突いて歩いている白髪の年を召したごおばあちゃん。
巽、立ち上がり、
「どうぞ。」
その声に、
「ありがと。」
と、にっこり。
いきなり電車が揺れて、巽、そのおばあちゃんの体が揺れて倒れそうに、
「お~~っと。」
肩で支えて。
おばあちゃん、
「ありがと。」
そして、巽が立ち、空いた席に、
「うぃっしょ。」
持っているバッグをお腹の前に、その上に両手を。そして右手で襟元を正すように。
巽、にっこりと。そして目の前の真っ暗な窓…。街の明かりを見ながら、
「しっかし…。結局…、起きなかったよな~~。」
ぼそりと言って、
「やれやれ…。」
左手で首の後ろを撫でる。
「ふん。初めて女性…、背中に…負ぶったか…。それにしても、それが…、みどとは…。」
巽、つい1時間前の事を思い出して…。
翠を背中に負ぶったはいいものの、相手は眠っていて、ダラリとしている。
10数メートルは歩いたろうか、丁度そのとき、左側の方向から、「空車」のタクシーが。
そのまま、タクシーに乗り込んだのだった。
そして、スマホで雅楽を検索して、運転手に行先を言って、雅楽に向かったのだった。
その間、翠は巽の右肩に凭れたまま、静かな寝息を…。




