翠と橙(みどりとゆず) vol.101 少しだけ爪先立ちになって翠…。
少しだけ爪先立ちになって翠、小声で、
「凄いよ、視線…。遊馬君。」
その声に巽、
「ですよね~~。もう~、さっきからビシバシと…。」
「ねっ。」
そして翠、
「あっ。遊馬君、ちょっとやばくない…???」
巽、
「はい。少~~し、ずつ、感じてるんですよ。」
「だよね~~。もしかして…、お店のお客さん…いるかと…思うと…。くくっ。」
小さな声は変わらず、
「そうなんですよ。…しかも、僕…、この身長だから…。」
「目立つよね~~。ぷぷぷ。」
「逢坂さん…???」
右目を歪めて巽。
翠、
「はい…。」
「少し…だけ…、からかってません…???」
翠、その声に、可笑しそうに。
「絶対に、その顔、からかってるでしょ。」
翠、
「いやいやいや。だって、もう…逃げも隠れも出来ないから、この状態。」
実際に、ランウェイを挟んで、誰一人、移動することなく…。
しかも、立ちながらの翠と巽。160センチと185センチ。
傍から見れば恋人同士か、仕事の同僚に見え…なくもない。
「それに、さっきから見てるけど…、不思議に、私…知っている人…、誰もいない。まっ、営業じゃないから…、その辺は…。」
翠。
「うん。まぁ…。僕の方も…今のところ、見た事のある人は…。」
「ふん。」
「でも…逆に、誰かが、僕の事を知っている…なんて事…。」
「うんうんうん。あるある。かも~~。」
「だから…逢坂さん…、勘弁してくださいよ。完全に、からかってますよね。」
翠、
「お~~っと、始まった、始まった。と~~。」
後ろのカメラを持った男性が翠の肩にぶつかって。自然に巽の右腕を掴んでしまった翠。
「あっ。ごめんなさい。」
巽、
「いえいえ。大丈夫…???」
そして、
「うん、OK、OK。」
ランウェイを歩くモデルたち。次から次へと新作のアイテムが登場。
「へぇ~~。凄いですよね~~。」
巽。
「うんさすがに素敵だわ。関口恵。」
そして、あるアイテムが登場。
「わぁ~~。」
いきなり巽の右腕を叩いて、
「ああいうの…私…好き~~。うんうんうん。」
その時、
「かかかか。みど…。」
巽。
けれども、BGMで、その声が翠の耳に届いたかは…。
そして全てのアイテムが出揃い最後には、関口恵自身がギャラリーに挨拶。
そしてコレクション終了に伴って、各企業人が関口恵の下に。
翠も巽も、何かしらの関係がある以上は、本人としっかりと握手。
既に時計の針は夜8時を回っていた。
結婚式場を出て翠、
「ん~~。素敵。やっぱり…いいわ~~。新作ばかりだから。うん。いい勉強になった。」
その時、翠のお腹が、「グ~~。」
翠、
「え…???」
巽、
「かかかか。逢坂さん…、お腹…???」
少し赤くなって翠、
「空いたか…くっ。」
「どっか、寄ってきます…???」
少し考えて翠、
「ん~~。この…時間…。」
一瞬、雅楽を思い浮かべて…。
「この…辺…は~~。」
巽。
「あっ。あそこなんか…、いいかも…。」
「へっ…???」
「美味しそうなところなら…。」
「さっすが、お店、見ただけで…???」
「ん…まぁ…。なんとなく…ですけど…。」
「…んじゃ…。行ってみます…。」
そして、横断歩道に一歩。
「うわっ。」
いきなり翠の背中にぶつかってきた人物。
前のめりになった翠を、その体を瞬時に捕まえて、
「あぶなっ!!!」
その時、倒れそうな翠の体、左手で翠の左腕から左胸へと…。
翠、
「びっくりした~~。」




