第三話。タレ目と出会い、合流成功
遠くから声が聞こえる。
「おーい!あんた、そこで何してるだ」
声の方に振り向く青年。
「あ、怪しいものじゃないっす、あ、あのその・・・」
草原から森に続く田舎道、
150メートル程先の森の中から声を掛けた一団が現れた。
二台の荷車を引く、大柄の若い男と小太りの中年男、
後ろからその荷車を押す二人の少女が見えた。
嬉しそうな少女の高い声が響く。
「ホラ!!やっぱり!やっぱりお告げだったのよ!!」
困惑する三人をそこに残し、中年男の制止も聞かず、
声を上げた少女が青年に駆け寄る。
「おい!待つだーリリー」
少女を追いかけ、残りの三人も、
荷車を置いて青年に向かって走ってくる。
タ、タレ目美人だ!
タヌキ顔だ!!
金髪でオッパイもあるタレ目美人だ!!
神様タヌ神様ありがとう!
異世界万歳!!
異世界最高!!!
駆けて来た少女が、少し距離を置いて青年に声を掛ける。
「ハァハァ・・・あなた、山神様の使いですよね?」
いきなりの事に少し面食らった青年が、
少女を制止するよう、腰の辺りの前に両手を上げ答えた。
「山神様かどうかはわからないけど、神の使いっす」
残り三人も先行する少女に追いついて、
テッペンハゲにチョビ髭の中年男が声を掛ける。
「ハァハア・・・リリー、不用意に近づくな。
まずは安全確認だー」
リリーと呼ばれた少女は、三人に振り返り、
興奮しているのか注意を無視して、
「やっぱりお告げだったのよ。
マメダ!今朝の夢はやっぱり山神様のお告げだったのよ!!」
と笑って、もう一人の少女、マメダの両手を握った。
興奮するリリーの肩に手を掛け、自分の後ろに回しながら、
テッペンハゲにチョビ髭で小太りの中年男が、
青年に向かって安全確認の許可を申し出る。
「私はドラカンと言うこの先の集落のものだが、
アンタ見かけん人だーね。
鑑定させて貰ってもいいだかね?」
胸の前に両手を上げて、
敵意の無い事を示しつつ青年は答えた。
「あ、はい。鑑定っすね。
どうぞどうぞ」
ドラカンと名乗った中年男が数歩進み、
青年の一歩前まで近づき鑑定を始めた。
ドラカンの前に、ステータスウインドが現れた。
「むぅ・・・名前も出身も文字化けしてるだー。
レベル5の魔法使い、アイテム師だーか。
文字化けが酷いだー」
テッペンハゲを右手で撫でながら、
鑑定結果をいぶかしみ、どうしたものかと考えるドラカンと、
先ほどと同じ言葉を繰り返す青年。
「あ、怪しいものじゃないっす」
怪訝そうなドラカンと後ろの三人を見て、
危険は無い、
神の導きによる、タヌキ族との出会いだろうと思った青年は、
正直に全て話すべきだと判断し、
これまでの経緯を手短に『恥かしくない』範囲で説明した。
異世界からの神の使いとは信じ切れない三人と、
やっぱりお告げだったと興奮する少女。
青年はゲームでよく使っていた名を名乗った。
「あ、えーと・・・、
あああ、アルファっす。」
ドラカンも、三人を紹介した。
「ドラカンだー。
こっちが娘のマメダだー。
この大男が甥っ子ダンザで、
そっちがダンザの妹、姪っ子のリリーだー」
アルファは、四人の鑑定をしていいか申し出てみた。
ドラカンが答える。
「あーアルファさんは鑑定が出来るだーか。
良いだよ鑑定。」
アルファは、目の前のドラカンから鑑定を始めた。
要所を簡潔に読み上げる。
「んーっと・・・。ドラカンさん40歳、Lv22、
アイテム師、集落世話役、元冒険者クラスE、
(テッペン若ハゲ、チョビヒゲ小太り中年おじさん)・・・」
細かいなこの鑑定、
知りたくも無いわおっさんの事など、
は、早く金髪タレ目美女の鑑定を!
ザッとドラカンの鑑定結果に目を通し、
特に危険は無い、問題は無いと判断したアルファは、
ダンザと呼ばれた大男の鑑定を始めた。
「ダンザさん22歳、Lv8、剣士、木こり、漁師、
・・・体力防御力とも高い・・・タフっすね。
(まるで金髪イケメン、タレ目プロレスラーだ)
盾術+の才・・・か」
いいからどけ、デカブツ、
妹さんの鑑定をしたいんすよ、こっちは。
少し驚いたダンザが声を上げる。
「盾術+の『才』?なんの事だな?」
目の前の中に浮かんだステータスウィンドを指差し、
ダンザに見えるように、半身になるアルファ。
「へ?ステータスにそう書いてあるっすよ?
ホラ・・・ココ」
アルファのステータスウインドを覗き込むダンザ。
「随分詳しい鑑定だーな・・・、
文字化けして読めないだーな・・・」
ドラカンが、横から目を細めてウインドウを覗き込む。
「むぅ・・・確かに項目が多いだな・・・
文字化けが多く読めないだが・・・
こんなに大きいステータスウインドは、初めて見ただー」
リリーとマメダも身を乗り出して、
アルファのステータスウインドを覗き込んだ。
「ホラ、やっぱり山神様の使いなのよ!
特別な鑑定なんだわ!ね!マメダ!!」
「ほ、ホントなの?
アンタ、ホントに山神様の使いなの?」
どうやら、俺の鑑定は特殊らしい。
ドラカンの話によると、
魔法やスキル等は、向き不向きはあっても『才』は、
聞いた事も無いらしい。
まぁいい、男共の鑑定結果や俺の鑑定能力はいいんだ。
そんな事はいい、後回しだ。
とにかくこのタレ目美人だ。
リリーと呼ばれた彼女の鑑定を!
早く!早くしたい。
ダンザの鑑定結果も自分の鑑定能力が特殊な事も程ほどに、
リリーの鑑定に入るアルファ。
「リリーさん18歳、Lv6、アイテム師、信仰心と精神が高め・・・
(神様ありがとう、最高っす。なんの文句もないっす)
・・・特に才はないっす・・・ない?」
神様!
この子じゃないんすか?
この美人さんとラブラブでウッハウハじゃないんすか?!
何か特別な『才』を持った、
準備された、運命の、約束の、神の祝福を受けた、
最愛の我が伴侶ではないんすか?
そんなバカな・・・リリーさんがいいっす・・・。
いやリリーさん以外有り得ないっす。
我が人生で(まだ数分だが)肉眼で見た最高タレ目美人さんっす、
タレ目を抜いても一位かもっす。
もう天使っす、
俺より神の使いっす、
神々しいっす、
ほぼ女神っす、
目がくらみます。
穢れた俺の目が、潰れそうなほど光り輝いてます。
この子とならやっていけます、
この過酷な殺伐とした異世界で生き抜いていけます。
いや生きて行きたいっす、
望むところです。
どうかリリーさんと、
どうかこの目潰し金髪タレ目おっぱい女神と、
ラブラブでウッハウハでグッチョグt以下略。
脳内で超早口&聞くに堪えない独り言を永遠と繰り広げ、
フリーズしているアルファに、マメダが声を掛ける。
「チョット、あんた?」
「あ、ああ・・・」
「最後はあたしの番だね」
我に返ったアルファが、マメダの鑑定を始める。
「マメダさん17歳、Lv5、軽双剣士、木工技術・・・
命中、器用、集中力が高い・・・
気配察知も高い、弓+の才・・・弓+の才?!
『才』?」
神様!こっちですか?
マメダさんですか?
イヤ、悪くないっす。
悪くないっすけど、
やっぱりリリーさんの方が・・・。
マメダさんは我が人生史上(数分だが)
2番目のタレ目美人、と言ってもいいレベルの超上玉です。
イヤ、超々々っ、超上玉っす。
胸が控えめなのと、気が強そうなトコを除けば、
・・・後チョット失礼っす。
初対面の俺をアンタ呼ばわりっす。
でも少々の難に目を瞑れば、
望み得る、最高峰の、上玉、タレ目、タヌキ顔美少女っす。
ですが、ですがですよ神様?
考えても見てください。
リリーさんの後じゃ・・・、
さすがにリリーさんの後じゃ、
霞みます、
曇ります、
ボヤケます、
色あせます。
リリーさんの神々しさに、目を潰された俺には、
マメダさんは見えません、
ただの失礼小娘です。
もうリリーさんにぞっこんです、
リリーさん一択っす、どうかリリーさんと・・・、
どうかあの、目潰し、金髪、タレ目、おっぱい女神と、
ラブラブでウッハウハでグッチョグt以下略。
ウインドウを覗き込みはしたが、文字化けで読めず、
何か不服そうなマメダが、
またフリーズ中のアルファに詰め寄った。
「は?弓?
剣の才は?双剣の『才』は?
チョットアンタ!
ちゃんと鑑定したの?!」
また我に返ったアルファが、
目の前の鑑定ステータスウインドを眺めながら答える。
「剣は・・・無いっすね。
弓です・・・弓+の才があるっす」
一通りの挨拶と、各々の鑑定による素性調査が終わった。
夢のお告げがあったと言うリリーの言うとおり、
草原で出会った、黒髪黒目の青年、
犯罪歴や害意は無い様である。
異世界転生、神の使い、であるのかどうかは疑わしいが、
文字化けするステータス、
特殊な鑑定能力を見て、確かに普通ではない。
異世界転生したてで、他に行くあても無いと言う青年を、
ドラカン一行の方が戦力は上、安全であると判断し、
とりあえず、町まで同行させる事に決めたようだ。
ドラカンが、一行を促す。
「じゃみんな、荷車まで戻るだー」
「どこかに荷を運ぶ最中っすか?」
「ああ、一番近い町まで売りに行くトコだー」
田舎道を150メートルほど歩き、
荷車に付くと、一匹の犬が、荷車に綱で繋がれていた。
犬を見ているアルファに、ドラカンが説明する。
「ここらはあまり物騒でもないが、まぁ番犬だー」
「そうっすか、あまり物騒じゃないとは?
なんせまだ魔物に遭遇してないもんで」
「はは、ここらはほぼ何も出んだよ。
出てもウサギ、イノシシ、シカ、厄介なのはオオカミだー」
ふむ、ここらに魔物が居ない訳じゃないが、
向こうからバンバン襲ってくるほど、敵は濃くないのか。
「あ、ところで荷なんすけど、
俺のアイテム収納に入れて行きますか?」
なんとなく、まだ不服そうなマメダが、横から声を掛ける。
「荷を?
アンタ、アイテム収納どのくらい入るのよ?」
「2tっす」
「・・・は?」
「・・・へ?」
そんな入るアイテム収納があるわけないと、
ドラカン達は口々に言うが、
入っちゃうと思う、たぶん。
2t。
2台の荷車ごと、アイテム収納するアルファ。
あっけに取られるドラカン一行。
アルファは荷車のあった方向から、
四人の方に振り返りながら言う。
「・・・ね?」
興奮したリリーが、高い声を上げる。
「や、やっぱり山神様の使いなのね!
そうよね?アルファ!!」
番犬の首輪に繋がる綱を拾い上げ、
興奮するリリーを落ち着かせるように、
片手を腹の前に出し、
抑えるジェスチャーでアルファが言う。
「山神様かどうかはわからないけど、神の使いっす。
異世界転生したてっす」
ドラカンは、無言でアルファにパーティ招待を出した。
アルファは入った。
脳内で声が聞こえる。
「聞こえるだか?」
「はい、聞こえるっす」
「危険が少ないとはいえ屋外であまり大声では、やはり危険だでな」
「はい」
「まぁ、町に向かうだ、話は道中でするだーよ」
「やっぱりお告げだったのよ」
「ホントにあんた山神さまの使いなの?」
「はー、文字化けやあのアイテム収納見せられちゃ・・・だーな」
「ホレ、行くだよ」
アルファを含めたドラカンPTは、田舎道を町に向かい始めた。
とりあえず合流。
すみません、やっちゃいけない、
話がいつまでも動かないってヤツやっちゃいました。
40話、ワレポン辺りに飛んで、先に進み。
気になるようなら、頭に戻る事をお勧めします。




