第四話。下山と丸太で一儲けとバカ犬
俺達の向かう町は「イーハン」、極東街道の宿場町。
極東街道とは、南の獣人国ゼンツと神聖国ライツをつなぐ街道の一つとの事。
イーハンの町まで西に向かう道中に、イーハン東村があるそうだ。
ドラカンの集落は山の中にあるらしく、
イーハン→中間辺りに東村→山の中に集落、と言う位置関係だ。
荷が無ければ、町~村~集落で四時間ほど。
村までは、森の中の獣道か、と思える山道を下山する。
他にも道中の会話で、色々な事が判った。
世界には三つ大陸があり、北半球の二つが人類の領地、
南半球の大陸は魔族の支配する暗黒大陸。
ここは北半球大陸のうち東大陸、
神聖ライツはそのまた東の端。
神聖と名乗るだけの事はある。
教会の力によって北に行くほど魔物が出ないらしい。
他国より魔物が弱く少ないので、農地が広く取れ、
気候も適しているので農産国だそうだ。
ライツ教会が国家を支配しているとの事。
神聖国ライツには、獣人差別が北に行くほどあるらしいが、
この辺りはライツ南のはし、近くが獣人国ゼンツであり、
昔から交流が盛んな地方なので、住人に差別意識はほぼ無いらしい。
しかし、三十年ほど前から、
町や村への獣人の出入りが基本禁止となっている。
理由は、ライツ北方から来た、
バップと言う、差別意識の高い領主に変わったから。
国家関係、宗教関係、商業、生産、冒険者ギルド等の関係者、
つまりライツ側が無下にも出来ないなら、
獣人でも村や町に出入りできるらしいのだが・・・。
ドラカン一行は、村にも町にも表向き入れないらしい。
どうやって荷を売りさばくのかと思ったが、
商人を外に呼び出せば良いと、マメダにバカにされた・・・。
宿場町イーハンは、田舎町だそうだが、
教会、騎士団詰め所、商業ギルド、冒険者ギルドがあるらしい。
ドラカン達は、俺に、イーハンの中に入って、
両方のギルドに加入したらいいと、口々に言う。
それこそお笑いだ、
俺は、どこの誰とも判らない、
正真正銘の不審者だと言うのに、
町に入れる訳が無い。
前を歩くドラカンが俺のほうに振り返り、
ハゲ頭を撫でながらニヤリとして言った。
「策があるだー」
「ほう?策っすか?」
「東村の商人に、イーハンのハーネ商会への紹介状を書いて貰うだー」
「そんなツテがあるんすか?」
「ハーネとは昔馴染みだー、東村の商人は近場の客程度の仲だー、
普通なら無理だーな。だから策だー」
「で、策とは?」
「小遣い稼ぎと一石二鳥だー、アルファ、
後どのくらいアイテム収納できるだか?」
「1.6tと言ったところっす?・・・ね・・・ふむふむ」
「判っただなアルファ、
東村の商人から荷運びの仕事を受ければいいだー」
「荷運びの仕事を請ける算段を、
ドラカンさんが付けてくれるって事っすね」
「まぁ俺にそれほど信用があるとも思えないだが、
価値の大して無い重いものならたぶんいけるだ」
「そんな都合いい積荷が、村に都合良くありますかね?」
またドラカンがハゲ頭を撫でながら、
周りの森とダンザを交互に見ながら言う。
「建材、丸太、つまりそこらの木だw」
「なるほど・・・積荷もこっちで用意しちゃうんすねw」
「ああ・・・後は・・・、
アルファが紹介状無しでは町に入れない正当な理由と、
儲けを村の商人に分ける約束すれば乗ってくると思うだ」
「正当な理由・・・か」
リリーが話しに割り込んで来た。
「山神様の使いだからでどうかしら?」
「リリー姉ちゃん・・・。
その理由が通るのは、リリー姉ちゃんだけよ」
ドラカンが笑いながら言う
「ガハハ・・・村の商人には、
ドラカン集落に身を寄せる流れ者としとけばいいだ」
「鑑定文字化けはどう誤魔化すっすか?」
「・・・アルファの生まれた所はなんと言う所だ?」
「?日本・・・東京の板橋っす」
「板橋、イタバシ・・・板の橋がある所だか?」
「板の橋があったのは昔の事で、
その板の橋がそこらの地名になったんすかね。たぶん」
先を行くドラカンが立ち止まり、
後ろを歩くアルファを手招きで呼び寄せる。
「もう一度鑑定するだ」
ドラカンの前に鑑定ステータスウインドが現れた。
それをダンザ、リリー、マメダも横から覗き込む。
「名前も出身も読めるだ、アルファ、イタバシ、ドラカン集落所属、
国籍は・・・まぁ無しでもいいだ。
後は・・・コレは特殊な鑑定だか?
まぁ試すだ。
『自分は、国籍無し、スキルは特殊鑑定』と思ってみるだ、
言ってみるだ、アルファ」
アルファは、言われたままに試してみた。
「おお、文字化けが直った、後一つだーな、コレはなんだー?」
アルファは、自分自身を鑑定しウインドウを出した。
それから自分の出したウインドウと、
ドラカンのウインドウを、交互に覗き込んで当たりを付けた。
「異世界言語っすかね?」
「異世界言語だー?」
「異世界の言葉をしゃべり聞き読み書きできるよう、
神様がくれた『自動翻訳』スキルっぽいっす。」
「翻訳だーか?
うーん・・・どんなナマリも標準語に直す様なもんだか?」
「ん・・・ちょっと違う気もするけど、そんな感じっすかね?」
「まぁいいだ、スキル『ナマリ翻訳』と意識して言って見るだー」
またアルファは言われたままに試してみた。
「?」「?」「?」「?」「?」
アルファのウインドウには、何の変化もない。
ドラカンのウインドウの文字化けだけが、
『全世界ナマリ自動翻訳』となった。
全員笑った。
番犬は、急に笑い出した一同に驚いたが、
皆が笑ってるので、なんだか嬉しくなった。
口々に、なんだよそのスキル、変なスキル等と声に出して笑った。
ひとしきり笑った後、
犬を撫でながら、ドラカンが指示を出した。
「よし、これで良しだー。もう村も近いだし。
ダンザ、丸太を手配しくれるだか?」
「うん、どの木がいいだな?」
「折角だから高く売れそうな・・・建材には・・・、
1.6t・・・あれにしてくれるだか?」
ダンザは、指差された直径45cmほどの木を、
アイテム収納から出した斧で、ものの、1~2分で切り倒す。
カーン、カーン、カーン・・・
「倒れるだー」
メキメキメキ・・・ド、ドーン!!
アルファは、切り倒した木を、
そのままアイテム収納に入れようとしたが、
重量オーバーの様で入らなかった。
枝や先の細い部分を、ダンザ、ドラカン、マメダが、
ノコギリでテキパキと切り落としていく。
リリーは、興奮した犬を落ち着かせていた。
作業を終えたドラカンが、
これでいいとアルファにアイテム収納を促す。
入った。
1.6t弱だった。
重さの目利きや、手際の良さにアルファは感心した。
経験だ、と汗ばんだドラカンとダンザが笑った、
マメダはちょっと照れた様だ。
「もうちょっと下ると村が見えるだ、少し休憩して向かうだ」
リリーが、荷車を出してくれと言う。
アルファは、二台とも出した。
リリーが、荷車から水入りのガラスビンを出し、全員に配った。
ふーむ、異世界では、皆アイテム収納を持っているようだ。
でも、荷車で荷を運んでたな・・・。
俺の収納の単位が、tなのが異常なだけか。
しかし・・・この水美味いな・・・。
リリーに貰った水は美味いな!
抜群に美味いな!!
なんか神聖な気がする!
喉の渇きどころか心が癒される。
・・・穢れた心が浄化される!!
神々しい!
これはもうただの水じゃない!!
そう・・・聖水だ!!!
これは女神リリーより下された、聖水なんだ!!!!
いやマジで、
いやらしい意味じゃなく聖水だなこりゃ・・・。
なんだあの犬・・・リリーの手から水を貰ってやがる・・・。
ふざけんなよ!
俺のリリーの手を舐めるとは・・・。
我が女神になんたる狼藉・・・。
ゆるさんぞ!
ふっざけんなよ!!
バカ犬め!!!
石ぶつけんぞ!!!!
しばし休憩の後、一行は下山を再開した。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
村にさえ着かないw
すみません、かったるくて・・・。
マジで40話、『ワレポン』に飛ぶ事をお勧めします。




