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【完結】メスガキ様にざぁこ♡と罵られたいから、真の実力は隠そうと思う  作者: 竹間単
◆第五章 メスガキ様と決戦

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33/39

●33

(2)


 結局あの後三人に押し切られた俺は、研究室破壊作戦を四人で行なうことを決めた。

 決行当日。

 俺たちは研究室へ行く前にギルドへ向かい、融合実験に加担していたギルド上層部の五人を捕縛することにした。

 方法は単純だ。オリビアがギルド内で発煙筒を転がして、火災を知らせるボタンを押しただけ。パニックになったギルドからは次から次へと冒険者と職員が出てきた。

 その混乱の中で目的の五人を、姿隠しの魔法で身を隠していたサイラスとミルカちゃんがぶん殴って気絶させて連れ出した。ギルド内には姿隠しの魔法を無効化する結界が張られているが、ギルドの外なら問題ないからだ。

 周囲の人々がパニック状態だったこともあり、首尾よく五人を連れ出すことに成功した。

 そして俺のもとへ運ばれてきた五人を、念のため縛り上げてから『アイテム圧縮サック』の中にしまった。

 一般には知られていないが『アイテム圧縮サック』には人間を入れることも出来るからだ。なお『アイテム圧縮サック』内に入れられた人間の安全は保障できないため、当然推奨はされていない。

 そんなこんなで俺たちの作戦は上手くいき、無事に融合実験に関わったギルド上層部の五人を『アイテム圧縮サック』に入れて、研究室へ向かっている。

 なお研究室へ向かう前に一度、別場所でギルド上層部の五人を『アイテム圧縮サック』から出して尋問をしたのだが、五人とも意識ははっきりとしていた。だが、一見平気そうでも健康上の問題が起こっている可能性があるため、『アイテム圧縮サック』に人間を入れることはこれっきりにしておこう。





「アデルバート、いつの間にそんな便利アイテムを買ってたの?」


 ミルカちゃんが俺の『アイテム圧縮サック』に興味を示している。高価すぎるため『アイテム圧縮サック』を所持している冒険者はほぼいない。きっとミルカちゃんは『アイテム圧縮サック』を初めて見るのだろう。


「そのアイテムは城が購入できる価格だって聞くぞ? どうやって買ったんだよ」


「秘密」


 サイラスの質問は「秘密」で逃げた。まさか「ダンジョン内で迷子になっている間に強いモンスターを倒してその報酬で買った」とは言えないからだ。


「アデルってケチっぽいもんねぇ。家だって小さな借家だし。日々ケチケチしてお金を貯めて買ったんじゃない?」


「ケチで悪かったな!」


「ケチケチすることで城が買えるほど貯金が増えるなら、ケチケチした甲斐があるんじゃないか?」


「いくらお金が貯まったからって、普通そのアイテムを買う? 確かに便利だけど、お城が買えるなら私はお城を買って住みたいかも」


 ミルカちゃんが城への夢を述べると、オリビアが苦笑した。


「お城に住むと掃除が大変ですよ? 誰かを雇って掃除をさせるとなるとどんどんお金が飛びますし、四六時中自分の家に誰かがいることになります」


「うげえ。自分の家にずっと誰かがいるのは嫌だなぁ。貴族は慣れてるのかもしれないけど、私は一般の家育ちだしなぁ」


「貴族はまず冒険者になろうとはしませんよ。例外はいるでしょうが、冒険者のほとんどが平民です」


 冒険者に貴族が少ない理由は、貴族なら冒険者として命を危険にさらしつつ一発逆転を狙わなくても、毎日贅沢な生活が送れるからだろう。それに貴族社会に足を踏み入れた人間は、貴族社会から逃れられない。

 一部の好奇心が抑えきれない特殊な貴族以外は、貴族として生き、貴族として死ぬのだ。


「俺は貴族生まれじゃなくて良かったな。何においてもマナーマナーで大変なんだろ、貴族って」


「らしいな……って、なんで貴族の話になったんだっけ?」


「確か『アイテム圧縮サック』の話からですね。ずいぶんと話が横道に逸れてしまいましたが」


 そうだった。今、俺の『アイテム圧縮サック』には、ギルド上層部の五人がしまわれているのだ。


「確認だが、名簿に書かれてたギルドの上層部は、あの五人で間違いないんだよな?」


 念のため質問をすると、サイラス、ミルカちゃん、オリビアが一斉に頷いた。


「間違いありません。わたくしたちの意見も一致していました。それに尋問で自ら名乗っていましたからね」


「はあ。ギルド全員の顔は無理でも、アデルにもあの五人の顔くらいは知っててほしかったな。全員、有名な人たちだぞ」


「ごめん」


「これに懲りたら、これからはギルドとのやり取りを私たちに丸投げするのはやめてよねぇ?」


「それに関しては本気で反省してる」


 俺が下げた頭を上げると、ミルカちゃんがまた『アイテム圧縮サック』を眺めていた。


「それにしても。五人の死体がこの小さなサックの中に入ってるなんて信じられない」


「殺してはないだろ」


「確かに殺してはいませんね。圧縮してサックの中に閉じ込めただけで」


「ある意味で殺すよりも残酷だよな」


 サイラスとオリビアも『アイテム圧縮サック』を眺め、時折つんつんと外からサックを触ってみるのだった。



   *   *   *



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