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「……って感じで、毎日ガブリエラにまとわりつかれて参ったよ」
「遅刻の言い訳は本当にそれでいい?」
「ごめんなさい。寝坊しました」
俺は先にダンジョンの前に集まったパーティーメンバーに向かって、深々と頭を下げた。
「久しぶりのダンジョン探索なんだから気合いを入れてくれよ。またあのおかしなモンスターが出るかもしれないんだから」
「はい」
「そうだよぉ。弱いアデルバートは、せめて気合いで実力をカバーしないと。良いところゼロだよぉ?」
「はい」
「まあまあ。アデルバートさんも反省しているみたいですし、せっかくのダンジョン探索なのですから、楽しくいきましょう!」
しょんぼりとしながら頷く俺のことをオリビアが庇った。
おいおいおい、余計なお世話すぎるが!?
せっかくのメスガキ様チャンスなんだから、庇わなくていいのに。むしろ庇ってくれるな! ミルカちゃんというメスガキ様が調子に乗ってるんだぞ!?!? 会話を止めてどうする!?!?
これだからメスガキ様の良さを分かっていない凡人は困るのだ。
俺の心の内に気付かないパーティーメンバーは、さっさとダンジョン前のストレッチを始めてしまった。
仕方がないので、しれっと俺もストレッチに加わる。
「今日は迷子にならないでよね、アデルバート」
「分かってるって」
「……本当ですかね?」
「本当だよ」
楽しそうに笑うサイラスとミルカちゃんに対して、俺の実力を疑っているオリビアはジトっとした目で俺のことを見つめている。
「本当ですかねー?」
「二回も聞くなよ!?」
オリビア、頼むから俺の実力を暴露することだけはやめてくれ!?
ガブリエラだけでなくミルカちゃんにまで罵ってもらえなくなったら、俺のハッピーメスガキ様ライフはいよいよ終わりを迎えてしまう!
そんなことになったら、俺は生きる希望を失ってしまうだろう。
「本当だからな!?」
「…………」
俺のメスガキ様への熱い想いが通じたのか、オリビアは何も言わずに俺から視線を逸らした。
前にもオリビアは俺の真の実力を吹聴するつもりはないと言っていたが、その言葉を信じてもいいのだろうか。
ああ、こんなことで悩むなんて、どうして俺は無駄に魔法の才能を持っているのだ。
本当の雑魚だったら、こんなに悩むことはなかっただろうに。
無駄すぎる。無駄な才能すぎる!!!
「おーい、アデル。そろそろダンジョンに潜るぞー」
俺が必死に悩んでいる間にストレッチを終えたらしい三人が、ダンジョンの前で手招きをしている。
「待ってくれって。今行くから!」
「アデルバートってば、やっぱりとろぉーい♡」
うっはー! ありがとうございます! 聖なるメスガキ様ことミルカちゃん!!
なんだかミルカちゃんのおかげで悩みごとが全部吹き飛んだ気がする。
まだ誰も気付いていないようだが、メスガキ様には癒し効果があるのかもしれない。
これは世紀の大発見だ!!!!!
「アデルー、早くしろよー」
「今行く!!」
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