24 ※内容を一部修正しました(2020.5.22)
最後、少しだけ視点が変わります。
2020.5.22一部内容を修正しました。
公爵家へ来てから1週間。
リディアナは充実した日々を送っていた。
もちろん気軽に王都を歩けるわけではないが、公爵邸は広い。
庭園を散歩していれば、運動不足になることもないだろう。
『侍女のマリアです』
そう紹介されたのは、公爵家にきた当日。
今まで一人で暮らしていた時間も長く、大抵のことは自分でできる。そう断るも、"旦那様より不便がないように、と命をうけております"とにこりと一蹴された。
そして一つ、気が付いたことがあった。
お屋敷の使用人の人数が驚くほど少なかった。
執事が1人、メイドが3人、厨房に3人、庭師が2人、以上。
いくら別邸とはいえ少なすぎるのではないだろうか、というのがリディアナの感想だった。
そのうちメイドのマリアはリディアナに付きっきりのため、日々の業務は実質2人でこなさなければいけない。
(こんな大きなお屋敷を2人で維持するなんて大変だと思うし、それにクラウドさんからは好きに過ごして良いと言われているわけだし)
そういうわけで、マリアにお願いをすることにした。
「メイドの手伝い、ですか?」
「はい」
困惑した顔のマリアになおも言い募る。
「こうやって日がな一日ぼんやりしているのもなんだか落ち着かないですし、これだけ大きなお屋敷を少ない人数でまわすのはやっぱり大変ではないですか?一人暮らしもしていましたから、猫の手の代わりくらいにはなると思うんです」
「お嬢様のお気持ちはありがたいのですが、使用人達は馴れておりますのでごゆるりとお過ごしください」
(やっぱり素人が手を出すと邪魔になるよね…)
しょんぼりするリディアナにマリアは不思議そうに首を傾げる。
「お手伝い、がリディアナ様のお望みですか?」
「…なにかできることがあればやりたかったんですけど…でも邪魔になってしまうかもしれな――」
「構いませんよ」
「え?」
「使用人に気を使っていただく必要はありませんが、望みであれば別です。勿論、邪魔とも思いません。それに旦那様から"望みは危険がなければ叶えるように"とも言われています」
リディアナはぱぁっと顔を輝かせる。
「…変わったお嬢様ですね」
それをみて、マリアは心底不思議そうに呟いた。
―――――――
夜。クラウドはマリアから自分が仕事中のリディアナについて報告を受けていた。
「話はわかりました。そのままリディの心に沿った行動をしてください。下がってよろしいですよ」
おつかれさま、というとマリアは深く頭を下げて部屋を出ていく。
(お茶をするなり、読書をするなり色々あるだろうに、力になりたいとメイドの手伝いを選ぶとは)
クラウドは口角をあげて、座っている椅子の背凭れに体を預けた。
(リディ、あともう少し待っていてくださいね?)
既に撒かれている種は、順調に育っている。
花開き、実を結べば、きっと。
クラウドは結末を思い描き、小さな笑い声を漏らした。




