第二話 初めての共同作業
シルバと二人で入る、初めてのダンジョン。
まずは準備だ。
オレはいつも通り、鋼鉄の片手剣と小盾、それにチェストメイルを装備する。
そして――。
「シルバ、必要な装備品は店の中から見繕ってくれ」
本人に丸投げする。
戦い方も分からないし、本人に選ばせるのが一番だろう。
「ご主人様、自分で選んでもよろしいのですか?」
普通、奴隷の装備品も主人が決めるものだ。
「ああ。シルバの戦闘スタイルも分からないし、今店頭にあるものは、ほとんど長期在庫品だからな」
本当は最新の装備もあるが、そこは気を使って黙っておく。
「では、遠慮なく」
シルバはレイピアと硬革の小盾、硬革のビスチェ、そしてモンスターコットンのドレスを手に取った。
(それ、全部最新の装備なんだが……)
心の中で泣いた。
「う、うん。いいんじゃないかな」
(元を取るまでコキ使おう。問題ないはずだ)
準備が整ったところで、ダンジョンへ向かうことにした。
移動魔法を詠唱し、二人でダンジョン内へ転移する。
「ご主人様、移動魔法を使えるのですか? ダークエルフでも希少な魔法ですが……さすがでございます」
「そうなのか?」
どうやら、オレが思っている以上に珍しい魔法らしい。
まあ、今はそれよりも今日の稼ぎだ。
とりあえず、今日は十体以上がノルマ。シルバの装備代だけでも回収しなくては。
この階層に出現する主なモンスターは、メイルバッファロー。硬革シリーズの素材が採れる相手だ。
「あら、ここはワイルドケーブの五階層ですか?」
「よく分かったな?」
「元貴族ですので、教育を受けておりますわ」
「もしかして、ほかのダンジョンの情報も?」
「ええ。近隣のダンジョンについては、踏破されている階層まで把握しておりますわ」
なるほど。それは助かる。
素材を集めるにしても、情報は大切だ。
とりあえず、探索開始だ。
しばらく進むと、メイルバッファローが一体現れた。
ちょうどいい。
「シルバ、倒せるか?」
「お任せを」
危なそうなら、すぐにフォローに入るつもりだ。まずはシルバ一人で戦わせてみよう。
メイルバッファローもこちらに気づき、突進してきた。
シルバはそれを軽やかにかわすと、レイピアで一突き。
一撃では倒せないものの、確実にダメージを与えている。
突進をかわしては突き、距離を取っては再び突く。
それを何度か繰り返し、ついにメイルバッファローが倒れた。
「やったな。なかなか戦えるじゃないか」
「元貴族として、剣術は嗜んでおりました」
(やたらと元貴族を主張してくるな……)
まあ、これなら二人で十五体くらいはいけそうだ。
そういえば、シルバは攻撃魔法も使えるんだったな。
「シルバ、攻撃魔法も使えるんだよな?」
「はい、もちろんでございます」
「見せてもらってもいいか?」
「かしこまりました」
次のモンスターで披露してもらうことにした。
探索を続けると、今度はメイルバッファローが二体現れた。
「シルバ、魔法で先制攻撃を頼めるか?」
「お任せください。ファイアーランス!」
シルバの詠唱とともに、炎の槍が放たれた。
炎の槍は一体のメイルバッファローに直撃し、その巨体を貫く。
メイルバッファローは、そのまま倒れた。
(おお、攻撃魔法ってこんなに強いのか。一撃で倒すとは……)
残る一体が、こちらに向かって突進してくる。
「今度はオレの力を見せてやる」
片手剣を構え、突進を迎え撃つ。
相手の動きを見極め、攻撃をかわしながら剣を振るう。
一撃では倒せない。だが、三撃目を叩き込むと、メイルバッファローは力尽きて倒れた。
「魔法には敵わないようだが、オレはこんなところだ」
「ご主人様、素晴らしいですわ。鋼鉄の片手剣で三撃とは、なかなかできることではありませんわ」
どうやら、シルバもそれなりに評価してくれたらしい。
お互いの戦力と戦い方を確認しながら、探索を続ける。
そして予定通り十五体を狩り終え、オレたちは帰宅した。




