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22.洋服、それと、髪型

『昨日のお礼も兼ねて、次の土曜日、一緒に遊びに行かない?』


送る。


確認する。


まだ既読はついてない。

どきどきする。


急に遊びに誘って、迷惑じゃないかな。

面倒くさくないかな。


でも、もしかしたら。

少しだけでも、喜んでくれるかもしれない。


座って。

立って。


また座って。

うろうろする。


夜ご飯を食べているときも、見える場所にスマホを置く。


まだ?

まだ?


……ちょっと焦りすぎ?

でも、落ち着けない。


そして、通知音が聞こえる。

素早くスマホを見る。


ただのメールだった。

ため息をついて、スマホを置こうとする。


また通知が来る。

仁村くんからだ。


心臓が跳ねる。


開く。


『いいよー。楽しみ!』


それだけ。

それだけなのに。


「……やった」


遊べる。

会える。

話せる。


しかも、二人で。


それからは、新しい服を買って。

美容院にも行った。


あっという間に土曜日になった。


私は二十分前には待ち合わせ場所についていた。

手鏡で何度も確認する。


変じゃない?

大丈夫?


……あれ?


私、なんでこんなに楽しみになってる?

別に、ただの友達との遊びなのに。


……よく分からない。

なんでだろう。


「あ、島ー!」


声のするほうを見る。

仁村くんが手を振って歩いてきた。


背が高いから、すぐ見つかる。


「あ、あの、どうも……」


「なんで敬語?」


笑ってる。


仁村くんを見る。


いつもと同じ笑顔。

同じ雰囲気。


当たり前だけど。


目が合う。

とっさに逸らす。


心臓が、こんなに速く動けるのかと思うくらい速い。


「あれ?」


「は、はい?」


「いや、髪切った? なんか違くね?」


「ま、まあね。うん。似合ってるでしょ?」


自分でも何を言ってるのか分からない。

というか、意味の分からない強がりしなくていいでしょ、私。


「うん、似合ってる。素敵」


当たり前みたいに、仁村くんはそう言った。


「……ありがとう」


分かる。

今、顔がトマトくらいに赤い。


それから、

仁村くんと街を歩いて。

話して。

ご飯を食べて。

小物を買った。


たぶん、ずっとにやけていたと思う。


楽しい。

超楽しい。

めちゃくちゃ楽しい。


そして、あっという間に今日は終わった。


「今日はありがとうね、仁村くん」


「あの、楽しかった」


「うん。おれも超楽しかった」


「またなー」


仁村くんは帰ろうとする。


「……ねえ」


振り向く。


「私さ、友達も今までいなくてさ」


「仲良くなれると思っても、

 自然消滅的な感じになるんだよね」


仁村くんは、優しい顔で聞いている。


「……だからさ」


「あの、なんていうのかな」


少しだけ息を吸って言う。


「これからも、仲良くしてくれる?」


言った瞬間に、恥ずかしくなった。


何を言ってるんだろう。

こんなの、困らせるだけなのに。


でも、仁村くんは笑った。


「うん。

 島、いなくなったりしないからな」


そして帰っていった。

私も帰る。

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