14.涙と
俺は何をやっているんだろう。
ただ外に出てみただけ。
何か起こるかも、とか、
誰かに会えるかも、とか思ったのか。
そんなに、一人が怖いのか。
……時々、夢を見る。
学校に、俺の席はなくて、
誰も俺を見ない。
俺はそれも気にせずに過ごす。
そうすると、なぜかみんなから笑われる。
そして、俺も笑う。
たぶんもう、何もかもどうでもよくなってきているのかもしれない。
他人も、自分も。
そうしていると、仁村が歩いていた。
声をかけようとすると、
見たことのある女の子と一緒に歩いていた。
やめた。
それから少し歩くと、
三玉と六本木さんが歩いているのがちらっと見えた。
そっか。
二人とも、デートか。
中間試験も終わったし、気兼ねなく遊べるな。
楽しんでこいよ。
心の中で反芻する。
うるさいくらいに。
そうでもしないと、
二人に嫌な言葉を考えてしまいそうになるから。
そうしていると、クラスメイトに出会った。
「あれ、市ヶ谷じゃーん。何してんの、こんなとこで」
「いやー? 暇だし、ぶらぶらしてたとこ」
「じゃあ遊ばね? 今からカラオケで集合だけど」
「おー、いいね。行こ行こ」
嬉しいはずなのに。
楽しみなはずなのに。
心はぴくりとも動かなかった。
それでも、外面だけは、
もう一人でに動いているかのように、
表情と言葉を作っていく。
カラオケでは、まあ特に話すことはないかな。
歌って、話して、騒いで、終わった。
誰がいたかも、よく覚えていない。
誰かに分かってほしいとか、
そんなの不誠実だ。
だから、今日も、明日も、その先も、
こんな感じなんだろうな。
そう思っていると、なぜか、
本当に、なぜか、
俺は泣いていた。
やばい。
知り合いに見られてないよな。
誰かにこんなところ見られたらまずい。
早く帰ろう。
今日、外なんかに行くべきじゃなかった。
「市ヶ谷くん?」
顔を上げると、
そこには後藤が立っていた。




