表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/31

12.島に着く

ファミレス。

いつもの場所で、いつものメニュー。


また部活をサボった。

また何もしなかった。


今日も何もせずに、何も成し遂げずに終わった。


それでも、あの三人と話しているときだけは、そんなことは考えなかった。

何も考えずにいられた。


でも最近、あいつらは変わろうとしている気がする。

俺を置いて。


「はあ……」


ため息が漏れる。


もしかして、前進しなければ、もう居場所も何もないのだろうか。


それでも、何か踏み出す気力が持てない。

なぜだろうか。


昔はもっと活発だったはずなのに。

なぜ、いつからこんなふうになったんだ?


「お待たせしましたー。ご注文のこれです」


「あ、どうも」


「あれ、今日は一人なんですか?」


「え?」


「いや、いつも四人で来てるから」


顔を見ると、たしかにいつも配膳してくれる女性の店員さんだった。

名札を見ると「島」と書いてあった。


「島さん?」


「はい、島です」


「みんなは忙しいから」


「……」


「私、もうすぐ上がりだから、ちょっと待っててくださいね」


「え?」


それで、なぜかファミレスの裏で待っている。

なぜ? なんで?


というか、別に島さんと喋ったこともないけど。

そんなに俺、悲しそうだったか?


まあいいか。

どうせ家に帰ってもやることないし。


最近スマホを触っていても虚しくなるから、

人と話してたほうが気が紛れる。


「あ、お待たせしました」


「あ、いえ」


コーラとコーヒーを持っている。


「コーラ、どうぞ」


「え、ありがとう」


並んで座った。

二人で飲み物を飲んで、少しゆったりとした時間が流れるのを感じる。


「それで、島さん」


「島でいいから。タメだし」


「なんで俺? いや、えーっと……なんで?」


「いや、特に理由ないよ。暇だったし、暇そうだったから」


なんとなくってことか?

わからん、この人のことが。


「それに、私、友達いないから」


そう言うが、別にそれを悲観しているわけでもなく、

ただそのまま言っている。


なんとなく話しやすい雰囲気があると思ったけど、

たぶん俺とは何の関わりもない、関係値もない人だからかもしれない。


「あのさ」


「うん?」


「なんか最近、何やるにしてもやる気が起きなくて」


「友達はみんな一歩踏み出そうとしてるのに、俺だけは何もしてないっていうか」


「それでいいと思ってたけど、なんか虚しくなるときあるんだよ」


そこまで言って、少し恥ずかしくなった。


知らん人に話しすぎだろ。


でも島は表情を崩すことなく、


「じゃあ今日、仁村は知らない人と話せたから進んだんじゃない?」


「自分を否定しすぎても、あんまりいいことないよ」


そう言った。


そりゃ「お前はダメなやつだ」なんていうわけがない。


……そういうことじゃないのは分かってる。


でも、なんというか、島と話すのは、

あの三人とは違う何も期待されていないような心地よさを感じる。


そんな気がした。


「じゃ、またね」


「おう」


帰宅して、何故か今まで手もつけなかった参考書を開いた。


少しだけやる気が湧いて、何故かは自分でも分からなかった。


でも、さっきの言葉が、頭のどこかに残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ