表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/31

11.煙と

二人の話をファミレスで聞いて、羨ましいと思った。

ああなれたら、とも思った。


でも、今のままでいることのほうが、ずっと楽で、怖さも感じない。


学校では、いつも通りやっている。


「ほんと市ヶ谷っておもろいわー」

「ありがとうね、市ヶ谷くん」

「いいやつだなー」


そのどれもが、何もない。

嬉しいとか、そんなものはない。


ただ、自分の自分じゃない部分を見られている。


でも、それは俺が作ったものだし、

俺がそれで苦しもうが、見る人はいない。


「市ヶ谷ー、あいつウザくね?」


「そんなこと言うなよー」


すらすらと言葉が出てくる。

誰かと衝突する度胸もないからだ。


三玉と六本木さんは、二人で勉強しに図書室に行っている。

楽しそうだ。


そして放課後。


みんな、誰かと帰っていった。


俺を誘う人はいない。


いつものことだから、一人で帰る。

一人のほうが楽だから、それでいい。


それで......


「あ」


顔を上げると、そこには玄関口で靴を履き替えている後藤がいた。



「あ、後藤」


「市ヶ谷くん」


「今帰り?」


「うん」


「奇遇じゃん。じゃあ一緒に帰る?」


「帰ろっか」


そうして二人で帰ることになった。

いつも通りのたわいないつまらない話をして。


「今日も市ヶ谷くん人気者だったね」


「いやいや都合よく使われてるだけー」


後藤は笑う。それを見て安心する。


「なにかあった?」


「え?」


「なんかいつもと違う」


え?

変だった?


どこが?


いや、いつものノリで返せば大丈夫。


「いやいや、いつもこんなもんよ」


軽く言う。いつも通りに。


後藤は少しだけ間を空けた。


「……ほんとにそう?」


「え?」


「......」


言葉が止まる。


「いやいや、本当だって」


笑う。

いつものように。


後藤は小さく頷いた。


「……そっか」


それ以上は何も言わなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ