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七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす  作者: 蒼月よる


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閾値の前で

 レフカ外縁の観測塔に入った瞬間、イオナは違和感を覚えた。


 計器盤は新しい。だが記録紙は古い。

 新計器に旧書式を当てると、補正欄が必ず溢れる。溢れた欄は「欄外注記」へ逃がされ、欄外注記は監査で最初に切り捨てられる。


 つまり、数字を残しているようで残していない設計だ。


 彼女は立会いの監察官へ言った。


「この書式のままでは、閾値手前の挙動が消えます」


 監察官は戸惑う。


「規定書式です」


 イオナは首を振った。


「規定が現場を表現できないなら、規定を更新するべきです」


 ガルムは周囲の導線を確認しつつ、低く補足する。


「更新提案を今夜中に作る。反論される前に公開版を出す」


 夕方、イオナは暫定掲示板へ最初の更新案を張った。


 新計器対応書式(試行版)。

 補正欄拡張。

 欄外注記禁止。


 見た目は地味な改訂だ。

 だが閾値手前の挙動を残せるかどうかは、次の危機で決定的な差になる。


 夜、彼女は観測塔の窓からレフカ中枢の灯を見た。

 遠い。だが遠いだけで、届かない距離ではない。


 第一部で積んだ基礎は、ここで道具になる。

 道具になる限り、前進は止まらない。



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