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七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす  作者: 蒼月よる


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港務日誌

 第一部の締めに、イオナは港務日誌の書式を改めた。


 従来の日誌は「異常なし」で終わる日が多い。

 便利だが、何を見て異常なしと判断したかが残らない。


 新書式では、判断根拠を必須にした。


 観測時刻。

 測定点。

 比較基準。

 判断理由。


 欄は増え、書く手間も増える。現場からはすぐ文句が出た。


「忙しい日に書けません」


 イオナは否定せずに返す。


「忙しい日に書ける量まで削る。だからこの四欄だけ残す」


 完全な記録を目指さない。

 消されにくい最小記録を残す。


 夜、見習いが新書式で最初の日誌を書き終えた。

 字は揺れていたが、根拠欄は埋まっている。


 イオナは赤鉛筆で丸を付けた。


「これでいい。次も同じ形で」


 翌朝、彼女は日誌監査の実演を行った。

 同じ観測値でも、比較基準が違えば判断が割れる。どこで割れたかを欄から辿れるかを確認する。


 見習いは詰まりながらも、理由欄を指して答えた。


「ここで基準を変えています。だから結果がずれました」


 イオナは頷く。


「いい。ずれた理由まで追えるなら、次は合わせられる」


 港の制度は、大事件より先に帳面で変わる。

 欄が一つ変わると、翌日の判断が変わる。


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