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七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす  作者: 蒼月よる


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手順書改訂

 第一部終盤で最も地味で、最も重要だった作業は手順書の改訂だった。


 イオナはデルガ観測室で、これまでの案件を一冊へ束ねる。


 第一章、公開の手順。

 第二章、避難導線の起動。

 第三章、停止工程の条件。

 第四章、証拠保全と提出。

 第五章、妨害対応。


 ガルムは改訂案へ赤を入れる。


「命令文は一文を短く。否定形を避ける。時刻は絶対時刻で統一」


 メラは別の赤を入れた。


「補填条件を先に書く。誰が損を負うかを明示。窓口は固定」


 イオナは二人の赤を受け入れ、文を削る。

 説明したいことは多い。だが現場で読まれる文は、短いほど強い。


 改訂会議の途中、若手監察官が手を挙げた。


「“例外時の裁量”を残したいです。全部を固定すると現場が止まる」


 イオナは頷き、欄を一つ増やした。


 『例外適用時: 適用理由と再現手順を追記』


 裁量を禁じるのではない。裁量を記録可能にする。

 それなら速さと検証性を両立できる。


 夜半、最終版の冒頭に彼女は一行を置いた。


 『恐怖を消すのではなく、恐怖の中で次の動作を残す』


 手順書は完成し、写しが四港へ送られた。

 表紙に署名はない。だが余白には、使った人間の汚れた指跡が残るはずだった。


 灯りを落とす前に、イオナは表紙を撫でる。


「この一冊で、誰かが三分早く動ければいい」


 ガルムは短く返した。


「三分あれば、列は切れない」


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