中央公開質疑
中央監察府はついに公開質疑を受け入れた。
条件は厳しい。発言時間制限、質問数制限、提出資料の事前審査。
それでも非公開よりは、はるかにましだった。
会場は中央会館の小ホール。
イオナは壇上へ立ち、冒頭で定義を置く。
「本件は単一港の誤判断ではなく、雛形文書の横展開による系統問題です」
中央側審査官が問う。
「調整会は公式組織ではない。仮称に基づく追及は不適当では」
イオナは差分表を示した。
「名称は仮称でも、文書流路は実在します。流路を否定するなら、この受領印を説明してください」
審査官は沈黙した。
質疑は三時間で打ち切られた。完全な勝利ではない。
だが中央議事録に「流路説明未了」という文が残る。
帰路、ガルムが言う。
「押し切れはしなかったが、押し戻されもしなかった」
イオナは頷いた。
「次は構成員名簿を取る」
夕方、デルガへ戻る前に三人は議事録控えを確認する。
誤字が一つでもあれば、後で意味を変えられる。公開質疑の終わりは、閉会ではなく記録確定だった。
翌朝、中央公開質疑の要点は四港掲示板へ同時掲示された。
議事録の文言が公開文と一致しているか、メラが最後まで照合し、ガルムが配達時刻を記録する。
言い回し一つで意味が変わる局面では、公開速度と同じだけ文言精度が重要だった。




