表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす  作者: 蒼月よる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/78

棚卸し

 棚卸し作業は退屈で、退屈だから強い。


 四港の実務者は三日間、ひたすら文書番号を照合した。欠番、重番、時刻逆転。異常は必ず痕跡を残す。


 二日目、北方港の記録に時刻逆転が見つかった。

 受領時刻より発信時刻が後。人為改ざんの典型だ。


 イオナは赤字で注記する。


 『時刻整合性不成立。再提出要求』


 ガルムは並行して搬送係の証言を集めた。

 「指示者は毎回違うが、文言が同じ」


 文言の同一性は、上位雛形の存在を示す。


 夜、メラは炊き出し場で実務者へ差し入れを配った。棚卸しは体力戦だ。体力が切れると記録が雑になる。


「英雄より飯だよ」


 彼女の言葉に、皆が笑う。笑える現場は持久戦に強い。


 三日目の終わり、棚卸し表は一冊になった。

 表紙に書く。


 『沿岸調整会経由文書・一次監査報告』


 監査は地味だ。

 だが地味であるほど、否定しにくい。



 大きな合意は、たいてい小さな半歩の後に来る。


 公開掲示、受領番号、妨害記録、訓練表、書式更新。

 どれも単独では世界を変えない。

 だが積み上がると、密室の決定を遅くし、現場の発言を早くする。


 第一部の成果を一言で言えば、その速度差を反転させたことだった。

 それだけで、人が残る確率は確かに上がる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ