表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
学園祭編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

357/375

第6話 『強制クエスト』

3/3

 


「データ送信完了。すぐに動くはずよ」


 本隊は連絡があれば即応できる体制を整えている。

 後追いで調査・確認を行う二陣・三陣は、すでに侵入準備を終えているはずだった。


「ん?」


 陽翔がふと目を上げた。

 見えない文字を読むような表情になる。


「ああ、“システムチャット”。反応しているわね」


 脳内ウィンドウにメッセージが流れた。


『ダンジョン内の生徒数が一定数を超えました。大規模イベントが解放されます』


「人数……そうか。どうりで入学式で椅子がやたら多かったわけだ」


「ある程度まとまった人数が想定されていたのね」


 体育館の椅子の数も、屋台エリアの広さも、

 “数十〜数百人規模”を前提にしているように見える。


 そして、それだけの人数を集めるなら――

 通貨の存在にも意味が出てくる。


 迷宮通宝は所有者が限定されず、譲渡も可能。

 つまり、迷宮内で“経済”が成立しうる。


「経済が動けば物流も増える。物流が増えれば、ダンジョンは活気づく……ってとこかしらね」


 活気づけてどうするつもりなのかは不明だが、

 迷宮側の意図は確かに感じられた。


 * * *


『強制クエスト発生』


「はい?」


「え?」


「なんすか?!」


 全員が同時に声を上げた。


 ダンジョンからのクエスト。

 しかも“強制”。


「クエストが発生するダンジョンはあるが……」


「ボス部屋で死にかけたパーティを助けるために出されるやつね」


 通常は“任意”だ。

 見捨てて進むこともできるが、その場合は

 “ダンジョン内の全員に見捨てた事実が通知される”

 という嫌がらせがある。


 だが今回は違う。


『生徒会執行部は生徒会室へ集合すること』


「生徒会?」


「生徒会室?」


 そのとき、スマホに着信があった。


「……マップが送られてきたな」


「この階層の端っこにあるみたい」


「ああ、なんかプレハブっぽいのがあったっすね。窓にカーテン、ドアは開かなかったけど」


「今なら開くんでしょうね」


「おそらくはな」


 行かないという選択肢はない。

 どうやら“生徒会”とは、彼ら全員のことらしい。


「ひょっとすると、俺らが入った時点で決まってたのかもしれねぇっすね」


「……人数か?」


「生徒の数が少ないから、問答無用で割り振られたってこと?

 なんて民主的なダンジョンなのかしら?!」


 澪の憤りに、笑い声が爆発した。


 * * *


「開いてるっすね」


 プレハブ小屋の引き戸は、あっさり開いた。


 工事現場でよく見る簡素な構造。

 窓と引き戸がついただけのサイコロ型の建物。


「芸が細かい……」


 引き戸の横には『生徒会室分室』と書かれた木札。

 魔法使いが呆れたように首を振る。


 中に入ると、簡素なテーブルがコの字に並び、

 パイプ椅子が無造作に置かれていた。


 背もたれには『会長』『副会長』『保健委員』などの札。


「完成度が高すぎるな……」


 祭りの会場に設置された簡易事務所そのもの。

 その“リアルさ”が逆に不気味だった。


 各自のステータス欄には、すでに“委員会”が割り振られている。


『議題:新一年生歓迎イベント。みんなで盛り上げて、絆を深めよう!』


 システムチャットが流れた。


 ここにいる者たちでイベントを企画し、成功させなければならないらしい。


「くだらない! こんなのテキトーにやればいいでしょ!」


 澪は完全に乗り気ではない。

 他の者も居心地悪そうだ。

 いい歳した大人が“お楽しみ会”など、気恥ずかしい。


『クエスト報酬:11階層への扉』


「……」


「……」


「……」


「……」


 沈黙。


「やるしかないらしいな」


 陽翔が座り直した。


 先へ進むためには必要だ。


「あ、でもこれ! 選ぶだけでよさそうっす!」


 朔也が指差したのは、

 “進行表”と書かれたイベントプログラム案。


 いくつかのパターンが用意されていた。



評価いただけると続編を書く意欲に直結します


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ