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『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
R15版。暴力・性的ニュアンスありバージョン

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第191話 盾のありか ~盾が守るもの~ 後編

3/3

 


 ◇カルマの嘆き◇


 舞台裏の管理部屋。

 モニタールーム内。


「って・・・また勝手に妖怪になってるのがいる――!」


 モニターを確認したカルマが、頭を抱えた。

『ダンジョンマスター』の自分に断りもなく、『システム』の補助もなしで妖怪化するとはどういうことか?!


 画面には、盾を持って歩き続ける少女の姿。

 もう息をしてない。

 でも、歩いてる。

 しかも、実体のない亡霊と来た。


「みんな人間やめるのに潔すぎないか?!」


 カルマの叫びに、周囲の妖怪たちがくすくす笑う。


「また一人、こっち側に来たねぇ」

「ようこそ、妖怪学園へ」

「って、また女か。やっぱ情念が深いってこと?」


 カルマは額を押さえながら、ため息をついた。


「いや、違うだろ・・・! せめて『未練』とか『呪い』とか、なんか理由つけてから来いよ!」


 でも、画面の中の彼女は、ただ静かに歩いていた。

 理由なんて、もう必要なかった。

『歩く』ことが、彼女の『進む理由』だったから。


 カルマは、肩をすくめて呟いた。


「・・・ま、いいけどさ」


 そして、彼は新たなウィンドウを開いた。

 そこには、こう記されていた。


 《新規登録:盾持ち妖怪『盾乃ありか』》 学園祭スタンプラリー:シークレットポイント

  報酬:幻の盾(※持ち帰り不可)


 カルマは、妖怪たちのざわめきを背に、ニヤリと笑った。


「見つけた奴には、ちょっとだけ『守る意味』を教えてやるよ」


 そして、彼はそっと画面を閉じた。

 その向こうで、盾の少女は歩いていた。


 その足元に、淡い光が灯る。

 それは、彼女の歩みが、ようやく『名を持つ存在』として認められた証だった。


「付喪神・・・『盾哭』とでも名付けるかな」

 既存の妖怪では思い当るのがいなかった。

 器物妖怪だから、付喪神系ということにしよう。


 ◇学園祭実行委員会への誘い◇


 足が、軽い。

『ダンマス』と会ってから——盾が、体も心も、軽くなった気がする。


 腐ったせいで通路に落としていた『肉体』も拾ってきてくれていて、私は『亡霊から妖怪』になった。

 初めてのケース・・・だそうだ。

 よくわからないけど。


 妖怪になったのに、「一緒に学園祭を盛りあげよう!」ってなに?

 周りにいる妖怪たちも、ノリが軽すぎる。

 踊るし、叫ぶし、屋台の準備までしてるし。


『人間』じゃなくなるって、気楽になるってこと?

 絶対違うよね?!

 そんな簡単に割り切れるわけないでしょ!


 ツッコミたいことは、山ほどある。

 でも——ツッコまないよ?


 私が持っているのは盾。

 槍じゃないんだから!


 盾は、守るもの。

 突くためじゃないの。

 だから、私は黙って見守る。


 でも、ちょっとだけ思う。


「・・・このノリ、嫌いじゃないかも」


 盾を持ったまま、彼女は学園祭の通路を歩いていく。

 気が付くと、どこかでなにかを支えている。

 それが、今の彼女の『進む理由』だった。



 退避と追跡行の脱落者=生徒6 教師9


 ◇


 それはそうと、一つだけ、謎が残った。


「結局、呪われていたのは誰?」

 ありかは首をひねり・・・屋台から流れるソースの匂いに意識を移した。


「透明な盾だと・・・隠せないよね」

 たこ焼きを・・・


「呪われてたの、もしかして——」

 ありかは言いかけて、たこ焼きを一つ口に放り込んだ。


「・・・ま、いっか。もう、関係ないし」


 つぶやくありかの視線の先。

 先輩の妖怪たちが、談笑しながら『たこ焼き』を食べる平和な光景があった。


『探索者』という『人間』だった頃にはなかった光景だ。

『妖怪』になったことが、正しいことだったように思えてしまう。


 でも、それは——


「・・・それも、関係ない、よね」


 哀しげに息を吐く

 。

 たこ焼きが、なくなっていた。


評価いただけると続編を書く意欲に直結します


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