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『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
R15版。暴力・性的ニュアンスありバージョン

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第152話 妖怪制作 七人みさき 後編

3/3

 


「名前がある。役割がある。じゃあ、私たちは『誰か』になるんだ」

「でも、それって『私』じゃないかもしれない」

「……それでも、消えるよりはいいのかな」


 記憶が、彼女たちの頬を撫でる。

 放課後の教室。

 窓の外の夕焼け。

 誰かと笑い合った声。

 もう戻れないと知りながら、それでも問いかけてくる。


「このまま、ただ終わるの?」


 感情が、胸の奥で小さく鳴る。

 まだ生きていたい。

 生きていた世界が、共に生きた人たちが、どうなるのかを見届けたい。


「ねえ、大人になる前に死ぬかもって、思ってたよね?」

「うん。でも、こんなふうに『続く』なんて、誰も教えてくれなかった」

「『死んだら終わり』って、信じてたのに」

「でも、もう戻れない。だったら──」


 ──魂は、肉体に戻る。

 それは、かつての自分とは違う『器』。

 でも、記憶が残っている。

 感情が、脈打っている。


 制服は、もう『制服』ではない。

 それは、ダンジョンの意志に染まった『衣装』。

 名前は、かつてのものを模した『記号』。

 でも、心のどこかで、まだ『私』を探している。


「……私たちは、まだ終わってない」

「終わらせてくれる誰かが来るまで、ここにいる」

「それが、私たちの『役割』なんだね」


「だったら、せめて綺麗に動こう? 名前があった頃の自分が、羨むくらい綺麗に。前の自分が、恥じるくらい。今度こそ、誰かの隣に立てるように」

 今度こそ、自分に正直に。

 嫌なことには抗う者でいたい。


「誰かの記憶に残るように」

 今度は、忘れ去られる名無しにはならない。


「七人目を探す、その旅が、私たちの『生』になるのなら」

 今度こそ、全うしたい。


 彼女たちが、現実を受け入れたとき、『システム』の声が流れた。

 彼女たちには『役割』と『名前』が与えられる。


 ──『能力』が、囁く。


「あなたは、先導」

 一影は、目を閉じる。

 かつて、『お宝』を探していた目と耳が、『素材』探しに使われる。


「道を探すのは、かわらない。探すモノが少し変わるだけ」

 彼女は、通路の先に耳を澄ませる。

『探知』が、彼女の足を導く。


 ──『立場』が、鳴る。


「あなたは、囁き」

 二影は、口を閉じたまま、声なき声を響かせる。

 かつて、冗談を言って場を和ませ、厳しいことを言って叱咤していた彼女。

 今は、敵の心に『迷い』を植えつける。


  「言葉はもういらない。ただ、揺らせばいい」

 仲間たちの精神的支柱だった彼女が、今度は敵の支柱を折りに行く。


 ──盾が、立つ。


「あなたは、守護」

 三影は、腕を広げる。

 かつて、仲間の盾となっていた彼女。

 今は、六影を守る殻となる。


「痛みは、私が受ける。それが、私の意味」

 守りの意志が、ダンジョン内に眠る『守護』の素材を見つけ出す。


 ──剣が、裂く。


「あなたは、斬撃」

 四影は、剣を握る。

 かつて、誰よりも早く敵に飛び込んでいた彼女。

 今は、影の刃となって敵を断つ。


「切ることが、私の言葉。それでいい」

 敵を斬る意思が、『武器系素材』を見つけ出す。


 ──風が、揺れる。

「あなたは、囮」

 五影は、笑う。

 かつて、敵の注意を引き、回避することで仲間を守った彼女。

 今は、敵の目を引き、仲間を守る。


「見られるのは慣れてる。でも今は、見せるために立つ」

 風が、彼女の髪を揺らす。

 敵の魔力は、彼女を無視できない。


 ──杖が、灯る。


「あなたは、癒し」

 六影は、手を差し出す。

 かつて、誰かの傷と痛みを気にしていた彼女。

 今は、影の中で痛みを和らげる。


「触れることが怖かった。でも、今は違う」

 癒しの力が、彼女の胸に灯る。

『薬品・治癒素材の採取』。


 ──闇が、沈黙する。

「あなたは、空位」

 七影は、まだいない。

 彼女たちは、探し続ける。


 誰かが『ここにいたい』と願った瞬間、七影は生まれる。

 それは、誰かの祈りかもしれない。誰かの涙かもしれない。

 それは、誰かの死かもしれないし、誰かの喪失かもしれない。


 ──迷廻七影、誕生。

 魂は、影に乗って歩き出す。

 影は、彼女たちの足元に連れ添う。


 そして、彼女たちはもう『人間』ではない。

 でも、『誰かの隣』にいたいという願いだけは、まだ残っていた。


 ◇


「完成だ」

 七人と言いながら6人しかいない。


 七人目を求めてダンジョンを彷徨い続けている・・・設定だ。

 学園祭風に言うと・・・美化係?

 校内を回って掃除をするイメージ。


「掃除する一番の対象は『お客様』だけどね」

 カルマは、微笑んだ。


評価いただけると続編を書く意欲に直結します


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