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『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
R15版。暴力・性的ニュアンスありバージョン

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第151話 妖怪制作 七人みさき 前編

2/3

 


 役目を持って出ていた『霞』。

 一仕事終えて帰ってきた彼女に、カルマは『おかえり』と言った。

 カルマの側にいた妖怪たちも、ちょっと戸惑ったように『おかえり』と口にする。


「・・・ただいま」

 『かすみ』が答えてくれて、風が柔らかくなった。


 たったそれだけのこと。

 それでも、きっと大きなことだった。

 少なくとも、妖怪たちの『カルマ』を見る目は優しさの度合いを深めている。




「がんばっているな」

 残戦力――ラストチームの快進撃を、カルマは見ていた。


「決戦は69階層の最奥としようか」

「わざわざ待つのには、何か理由があるの?」

 『河童』仁科悠が問いかける。

 沢辺みどりとなってから、少しだけ、心の距離が近づいていた。


「アイテムを消費させたい。魔力もね」

 中級モンスターとの戦闘で、徐々にアイテムが減っていく。

 アイテム整理をさせられていたことから、彼らの保持アイテムの種類や数はカルマが把握していた。

 魔力の減り方や残量なら、カルマは本人たち以上に熟知している。


「我が校の最高戦力だ。腐っているとしても、侮るわけにはいかない」

 最大限弱くしてから、終わりを強制する。


 カルマの意志は固く冷徹で、苛烈。容赦がなかった。

 冷静に、できることを全て実行したうえで、確実に仕留める。

 その気迫に妖怪たちは息を呑み、押し黙った。


 カルマがため込んでいた怒り、憎しみ、そして、哀しみ、その深さを思い知らされている。

 それは、妖怪となった彼女たちにとっても他人事ではない。


「途中で休憩も入れるだろうし、数時間は先のことになる。待っている間、手に入れた『素材』で仲間を増やしておこうか」

 何気ない一言。

 だけど・・・。


「・・・はい」

 悠の返事に、わずかな間があった。

 その言葉が、空気を少しだけ柔らかくした。


 それはカルマが『モンスター』を『仲間』と表した最初だった。

 カルマの中で、抑圧され、凝縮され、硬く、巨大に育っていた『ナニカ』がわずかにではあるが、解け始めた。


 そんな、『兆し』だったかもしれない。

 本人に自覚はなかったが・・・。


 ◇


 ダンジョンの階層を増やして70階層とした。

 それに伴い、カルマたちは拠点を70階層に移していた。

 『三途川中学校』の校長室という位置づけである。


 そこに、シデムシたちによって『素材』が続々と運び込まれていた。

 今回カルマが使おうとしているのは、そのうちの『一山』だ。


 後詰C班。『マップ埋め係』である。

 生きたまま連れ出すことができず、その場で死亡した者たちだ。


「『レア』ではなく、通常モンスだな」

 最高でもAランク。

 ネームドのSランク以上にはならない・しないという意味だ。


「シデムシさんたちの上位互換とする」

 『学園祭』がテーマで、『妖怪』が属性のダンジョンだ。

 シデムシさんが活躍しているのは、おかしいだろうということ。


 採取が得意だった彼女たちだ。

 『素材』集めも頑張ってくれるものと思う。

 彼女たちの存在の残り香を、システムに取り込ませ、モンスターとして再構築していく。


 ◇妖怪化(後詰C班視点)◇



 ──静寂の中、魂は目を開ける。

 肉体はもうない。

 でも、『自分』はまだここにいる。


「・・・これって、夢?」

「そうかも。だって、痛みがない」

「でも、寒い。空気が、冷たい」


 空気——彼女たちを取り巻く異質な空間――が、彼女たちの記憶を撫でる。

 再構築の作用が、彼女たちの心を静かに変えていく。


「私たち、死んだんだよね」

「うん。でも、終わってない」

「だって、見えるもん。自分たちの姿が」


 ──肉体が、再構成されていく。

 制服が、色褪せていく。

 髪が、風に溶けるように揺れる。

 目が、光を失い、代わりに『何か』を宿す。


『システム』の働きにより、魂の保持者たちにも『何が』起きているかは知らされていた。

『復活』でも『再生』でも、ましてや『蘇生』でもない。

『再構築』、『再定義』、そして『再誕』。

 彼女たちはいま、生まれ変わる。


「これが、妖怪になるってこと?」

「でも、私たちの中身は変わってないよね?」

「・・・ほんとに?」


 ──『役割』が与えられる。

 先導、囁き、守護、斬撃、囮、癒し。

 そして、空位。


 ──静寂の中、魂は目を開ける。

 肉体はもうない。

 でも、『自分』はまだここにいる。


「……これって、夢?」

「そうかも。だって、痛みがない」

「でも、寒い。空気が、冷たい」


 空気——彼女たちを包む異質な空間が、記憶の断片を撫でていく。

 再構築の作用が、彼女たちの心を静かに、確実に変えていく。


「私たち、死んだんだよね」

「うん。でも、終わってない」

「だって、見えるもん。自分たちの姿が」


 ──肉体が、再構成されていく。

 制服が、色褪せていく。

 髪が、風に溶けるように揺れる。

 目が、光を失い、代わりに『何か』を宿す。



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