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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第七章:死してもなお

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Episode:18 血に塗れた黒曜級2

 ――シェラ


 あれから数日経った頃のことだ、いつも通り依頼を受け、達成報告のためにギルドに戻り、報酬についての内容を受付嬢と話している時だった。


 一人の一般人の男が血相を変えてギルドの扉を開けた。


「なんだ?」


 俺は小さく呟きながら入り口を見る。

 その後に飛び込んできた内容は、衝撃的な物だった。


「アーガスさんが、死んじまった!」


 ギルド内に一瞬の静寂が流れる。

 そして、刹那のうちに騒がしくなった。


「どこで死んだ!? 理由は!?」


 冒険者の一人がそう叫び、男にジリジリと距離を詰めながら話す。


「多分、自分で……」


 一般人は目を泳がせながらそう話す。

 その言葉に、俺は目を見開いた。


「報酬を早く出してくれ」


 俺は無意識のうちにそう、受付嬢に話していた。

 

「はい?」


「早く出してくれ!」


 俺の声に受付嬢の体が跳ね、ぎこちない動きで報酬を袋に詰めていく。

 乱雑に置かれた袋からは金属音が響き、俺はそれを受け取る。


「すまん、助かる」


 そう話して、俺は慌てふためく男のもとに足を運んだ。


「おい」


 この、時俺は、どんな表情をしていたのか、どんな目をしていたのかはわからない。

 だが、俺の顔をみた男の顔は、恐怖に染まっていく。


「詳しく聞かせろ」


「あ……。詳しくも何も、俺だってわからねぇ! 最近姿を見ねぇと思ってたら、死んじまってたんだ!」


 男はそう叫ぶ。

 嘘をついている様子はない。


「案内しろ」


「あ、あぁ! わかった!」


 男は怪訝そうな顔をしたが、すぐに頷いた。

 銅等級の冒険者が、黒曜金級に用があるのか。

 面識があるのか。

 興味と、怪しい者を見る目……俺はそれに気がついていたが、無視をした。


 しばらく歩くと、小さな宿に着く。

 すでに見物の者たちが玄関や窓から中を覗こうと集まっていた。


「ここだ、ここなんだ!」


 男の言葉を聞き、俺は人混みを掻き分ける。


「なんだ、お前! 押すな!」


 後に来た俺が、人混みを掻き分け先に入ろうとするのが気に食わないのか、周囲から野次が飛ぶ。

 今は、それどころではないはずだ。


「黙れ、殺すぞ」


 気がついたら、そう呟いていた。

 苦い顔をした周囲は道を開く。

 一般人は、冒険者には勝てない。

 ギルドに苦情が行くだろう、横柄な冒険者がいると、だが、今はそんなことどうでも良かった。

 宿の玄関まで行くと、衛兵に止められる。


「悪いが、立ち入り禁止だ」


 そう話した衛兵を睨み、俺は等級章を見せた。


「――冒険者だ」


「冒険者……。失礼しました。お入りください」


 衛兵の許可をもらい、二階に上がる。

 一段一段が、やけに高く、足が重く感じた。


 そして、問題の現場を見る。

 角の一室、扉の外まで血が流れた痕跡。

 木造の床には、血が染み込み、痕が残っている。

 そして、部屋の真ん中には、いまだにアーガスの遺体が残っていた。

 椅子に座ったまま、目を瞑っている。


 俺は近づき、アーガスを見つめた。


「……また会ったな。話、聞かせてくれよ」


 静寂が包む部屋の中、俺の呟きに返答はない。

 もう話さなくなった彼を見つめ、静かにため息を漏らした。

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