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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第七章:死してもなお

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Episode:6 銀髪の褐樹人3

 シェラに支えられてる僕の元に、銀髪を乱暴に掻きながらディジーが近寄る。


「ド素人が召喚魔術なんて使うんじゃないよ。よりにもよってヴェルーデ(開門)なんて。自殺志願者かい?」


 ディジーはそう言いながらしゃがみ込み、僕と目線の高さを合わせる。


「話だけでも、取り敢えず聞いてください」


 僕は呼吸を整える暇もなく、ディジーに話す。

 彼女はそれを見て、優しく笑って外套の中から水の入った容器を出した。

 羊の胃で作られた容器は、振るたびに中から水の音がする。


「飲みなよ。落ち着いたら話をしようじゃないか」


 ディジーはそう言って立ち上がる。

 僕は水の入った水袋を受け取り、栓を抜いて一口含み、喉を鳴らした。


 学校の敷地から出て、最寄りの長椅子に腰をかける。


「で、世界が繰り返されてるとしたら……だったかい?」


 ディジーは僕から水袋を受け取り、外套にしまいながらそう話す。


「はい」


「それを信じろと?」


 ディジーは冷たく、そう話した。

 至極真っ当な意見だ。

 初対面の人間に、世界は繰り返されていますと言われ、簡単に信じる生物は今頃冒険者を続けてはいないだろう。


「あなたは召喚魔術師で、外套の下にたくさんの魔具を所有している……。魔剣もありましたよね。名前はディジー・ミリアム。黒曜金級の冒険者です」


 そう話すと、ディジーは目を見開いて驚いた表情をする。

 その表情は次第に凛々しくなり、彼女はため息を漏らす。


「わかった。ひとまず信じようじゃないか。で、今アンタ達がアタシに会いに来てるってことは……繰り返しを止められなかった訳かい?」


 ディジーの話に、僕は頷く。

 彼女は勘がいい。

 全てを話さなくても、知識に溢れた樹人(エルフ)褐樹人(ダークエルフ)は話が通じる。

 仮説を立て、正解を導く能力に長けているのだろう。


「はい、前回……夜の森で全滅しました」


 僕が話したその言葉で、場がどんよりと重くなる。


「俺様も死んだのか?」


「はい、全員です」


 シェラの言葉に、僕は淡々と答える。

 思い出したくない記憶だ、早く消し去りたい記憶だ。


「原因は?」


 ディジーの問いかけに、僕は彼女を見つめて口を開いた。


不死隊(スタッパー)です」


 僕がそう話すと、シェラは首を傾げ、ディジーは眉を歪めた。

 彼女の尖った耳がピクっと動き、不信感を表すかのようにシェラに続いて首を傾げた。


「スタッパーなんか雑魚だろ。俺様が負けるはずねぇ」


 シェラがそう話す。

 ディジーはその言葉を意外にも肯定した。


「アタシもあり得ないと思う。黒曜金級のアタシがいて、スタッパーに負けるはずがない。隊として来ても、アタシは魔具も、召喚魔術の銀騎士もいるんだよ」


 ディジーの話したその言葉に、僕は少し考える。

 無意識のうちに拳に力が入り、眉を歪めていた。


「吐き出したいことがあるなら、今のうちに吐き出しちまえよ」


 シェラは僕にそう言った。

 僕はシェラの顔を見て、深呼吸をする。

 そして、ゆっくりと口を開いた。


「戦士、斥候、魔術師がいました。数は不明……ディジーが銀騎士を二十体ほど召喚しましたが、押し返せず、鎧を纏うスタッパーも複数いたので……奇跡の魔具、奇輝の指鎧(きき しがい)も効果は薄かった」


 僕がそう話すと、ディジーが口を開いた。


「魔術師は、どんな魔術を使ったか覚えているかい?」


「確かウィトル()と、ウィルナ()……。両方ともディーゼ(停滞)の魔術です」


 その言葉に、ディジーはため息を漏らし、眉間を抑える。


「ディーゼ……中級魔術……ウィトルとウィルナなら、連携してる可能性がある……。そこまで来たら、もう隊じゃなく、軍だよ」


 ディジーは眉を歪め、不快感を全面に出しながら低く呟いた。

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