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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第六章:見たことない景色

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Episode:5 戦者2

 土を踏み締める音が響く。

 僕は必死になって前を走る褐樹人(ダークエルフ)蜥蜴人(リザードマン)についていった。


「まだ抜けないのか!」


 黒い鱗を生やした蜥蜴人、シェラが怒鳴る。

 どれほどの刻を走っているのかは分からない。

 太陽の光は木々の隙間から差し込むが、見上げても正確に太陽の位置までは知ることができなかった。


「案外長いね」


 褐樹人のディジーは、銀髪を激しく揺らしながらそう話した。

 地図では知り得なかった地形が牙を剥く。


「シェラとディジーは、この森を抜けて王都に来たんじゃないですか!?」


 僕がそう叫ぶと、シェラは前を見たまま声を張る。


「んなわけあるか! 依頼以外で魔物との交戦なんて避けたいに決まってる! 街道を通ってきたに決まってるだろ、東の果てなら森を突き抜けるのが最短だ、あと三日……あぁ? 四日か? まぁ、いい! そんな短い刻しかないんだ、街道でチンタラ歩くわけにゃいかねぇ!」


 シェラはそう答えた。

 直後、パキッと小さな音が耳に入る。


 いや、入ったような気がした。

 右だ。


 僕は視線を右に向ける。

 太陽があるとはいえ、木々が邪魔する森の中では、ずっと先までは見ることはできない。

 乱立した木と、奥に行けば行くほど深まる闇。

 それが、最高等級の冒険者でさえ嫌う理由なのは明確だった。


「シェラ、何か音が!」


「わかってる! 刻的にそんな強い魔物じゃ……」


 直後、シェラが足を止め、左手を伸ばして僕を抱えた。


「っえ?」


「ディジー!」


 シェラの叫びにディジーが足を止めて振り返る。


 ディジが足を止めたのを確認した直後、シェラは僕を抱きしめ、地面に大曲剣を突き立てた。


 まるで、投擲物から身を隠すように、遮蔽を作ったようにも見える。


「ルイン、耳塞げ」


 シェラの言葉に、僕は耳を塞ぐ。

 直後、眼前に広がる木々に、コツンと何かが当たる。

 コロコロと転がって正体は、拳ほどの大きさをした石だった。


「石……?」


 僕がそう呟いた瞬間、ガガガッと音を立てながら石の雨が横から打ち付ける。

 シェラが立てたのは剣ではなく、遮蔽物だったのだ。


「ディジー! 暴礫(ボルグラ)だ!」


 シェラは叫んだ。

 無数の石の雨が横薙ぎに降り注ぎ、土煙をあげ、轟音と共に木々を倒す。


 僕は耳を塞ぎながらシェラを見つめた。


「ディジー!」


 シェラは牙を剥きながらディジーの方に顔を向け再度叫ぶ。

 その声にディジーは足を止め、僕たちを見た後にボルグラを睨んだ。


 そして、彼女の口元が小さく動く。

 距離があるからか、なんて言ったのかはわからない。

 だが、すぐに魔術の詠唱だとわかった。


 ディジーの背後に魔力の粒子が現れ、集まり、次第に形を形成する。

 

 ガチャンッ


 現れたのは、無駄な装飾も、彫刻もない、顔までしっかりと鎧を纏った銀色の騎士だった。

 右手には直剣だけを握り、ボルグラに顔を向ける。


 青白く光る鎧は次第に光が消え、現世に顕現する。

 実態となるまでは時間はかからず、そこに確かに現れた。


「……召喚魔術」


 シェラと僕は同時に呟く。

 

 初めて見るディジーの魔術、その光景に動きが止まる。


「シェラ! ルイン! ボーっとしてないで、闘いな!」


 ディジーがそう叫んだ直後、銀騎士が腰を低く沈め、走り出した。

 動くたびに鎧が擦れる金属音が耳を刺し、木々の間を縫うように駆け抜け、ボルグラの群れに剣を振るった。

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