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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第六章:見たことない景色

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Episode:3 足並み

 拳を握り締め、僕は王都の門前に立つ。

 まだ朝だ、こんな時間に店などやっているのだろうか。

 

「早く来すぎた」


 僕はそう呟きながら太陽に照らされ始めた空を見上げる。

 かなり早かったかもしれない。

 待ち合わせでは昼前だったが……。


「どうしよう」


 僕がそう言って視線を空から前に移すと、どこからか声が響く。


「ルイン!」


 その声が響き、僕はそちらに視線を向ける。

 向けた先にいたのは、黒い鱗を生やした蜥蜴人(リザードマン)と、欠伸をしながら銀髪を揺らす褐樹人(ダークエルフ)だった。


「シェラ! ディジー!」


 僕が名前を呼ぶと、シェラはまるで子供のように手を大きく振り小走りになる。

 ディジーはそんなシェラを呆れたように見つめ、ため息を漏らしながら小さく手を振った。


「早いな」


「そちらも、集合は昼前だったはずです。なぜ?」


 シェラの言葉に、僕はそう答えた。

 僕の言葉を聞いて、シェラは親指を立てディジーを指差す。


「こいつが言ったんだ」


 シェラの言葉に僕はディジーを見つめ首を傾げる。

 ディジーは優雅に歩きながら腕を組み、近づいてきた。


「刻を気にする人間は、前もって行動するからね。ルイン、アンタの性格上、早くくるんじゃないかなと思っただけ。まさか、こんなに早いとは予想外だけどね」


 ディジーはそう言いながら片目を閉じる。

 なるほど。

 まだ会って数日なのに、そこまで見透かされていたのか。


「てなわけで、俺様も来たわけだ」


「なるほど」


 シェラの言葉に僕がそう答えると、シェラは荷物を下ろして何かを取り出す。


「そうだそうだ……。ルインに買ってきたんだよ。安物だが……」


 そう言いながら、シェラは何かを僕に投げ渡し、僕はそれを見つめる。


「……剣?」


「安物だが、出来はいい」


 僕は自身が持つ直剣に目を落とす。

 シェラからしたら初めての譲渡品だろう……だが、僕にとっては三回目だ。


「ありがとうございます。大切にします」


「おう」


 シェラは短くそう答え、僕を見つめた。


「じゃ……行くか」


 シェラはそう言って荷物を背負い、僕を見下ろして優しく笑って見せた。

 彼も、アーガスの事を知りたくて仕方がないはずだ。

 それでも、僕に足並みを揃えようと待ってくれている。


「ありがとうございます」


「ん? おう!」


 きっと伝わっていないのだろう。

 突然お礼を言われた……くらいにしか思っていない……。

 なら、再配置を解決したらしっかりと言おうじゃないか。

 伝えてないことが、たくさんあるんだ。


 僕はそう思いながら、一歩を踏み出した。


 王都から出て、少し歩く。


「こっちで合ってますか?」


「そうだね、間違いないよ」


 僕の言葉に、ディジーが地図を見ながら答えた。

 彼女は地図を雑嚢に押し込み、歩き出した。


 視界には草原、振り返れば王都が小さくなっていた。

 そこで、初めて実感した。

 もう……いや、やっと動き出したのだと。


 僕たちは同じ方向を見据え、歩き出す。

 これが、物語の始まりだ。

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