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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第五章:情報

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63/80

Episode:5 前進あるのみ

 ――ディジー


 アタシは声をかけた人物の顔を見る。


「人間……?」


「なんだ」


 振り返った人間は……兜で顔が見えないが、否定しないと言うことは人間なのだろう。

 全身を覆う銀色の鎧。

 窓から差し込む太陽の光が反射し、アタシは目を細めた。


「なんか用か? 褐樹人(ダークエルフ)


 人間の男はそう言った。


「……見えてるのかい? それ」


「あ? あぁ、ちゃんと見えてる。じゃないと装備の意味がないからな」


 アタシは鎧について、初めに言及してしまった。

 軽装しか身につけないアタシには、全身を覆うほどの鉄の塊を着るのは考えられないからだ。

 だから、興味がそっちに移ってしまった。


(違う)


 頭の中に響く声が、アタシの言動を否定する。

 探究心と言うのも厄介だ、気になるものがあると、半自動的に体が動いてしまう。

 悪い癖だ。だが、魔術師故……なのかもしれない。


「何笑ってるんだ?」


 人間の男がそう話す。

 アタシは自身の口元を抑え、笑っていることに初めて気がついた。


「いや、すまない。少し聞きたいことがあるんだが、ちょいといいかい?」


 アタシは口元から手を下ろし、彼を見た。

 鎧の中から、呆れたようなため息が響く。

 それでも、アタシは続けた。


「空が白く染まる現象を見たことはあるかい? 知識や、見聞でもいいんだ。今は、なんでも欲しい」


「なんだそれ? 魔術の一種か? 悪いが見たことはねぇな」


 人間の男はそう言った。


 魔術かどうかもわからない。

 当然で、予想できた反応だった。


「そうかい、ありがとね」


 アタシはそう言ってため息を漏らす。


「だが……」


 人間の男は窓の方を見た。

 兜が回り、沈黙が数秒。

 そして、男はアタシを見つめ、右手の人差し指を天井に向けた。


「どうやら、情報屋が来てるって話だ。さっき小耳に挟んでな、実際にいるかはわからん。それでもいいってんなら、確かめる価値はあるかもな。あとはアンタの探究心次第だ、褐樹人」


 人間の男はそう話す。

 アタシは人差し指に釣られるように、天井に視線を向けた。


「屋上かい?」


「あぁ」


 アタシの問いに、人間の男は短く答える。

 

 アタシは視線を下ろし、彼を見つめた。


「ありがと、役に立つかはわからないけど、確かめてみるよ」


「あいよ。じゃあな」


 人間の男はそう言い残し、去っていく。


(行くのか?)


「他に手がかりもないしね」


(そうか)


 頭の中に響いた声と話し、アタシは歩き出す。

 屋上にある情報を目指して。

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