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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第四章:魔術師

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Episode:6 冒険者

 しばらくして、人混みの中からエヴァが現れた。

 両手には、持ちきれないほどの食べ物、近くの屋台で買ったのだろう。

 今思えば、学校に遅刻しそうと慌てている人間の行動ではない。


「にゃにしふぇるの?」


「いや、エヴァを待ってたんだよ」


 僕がそう話すと、エヴァはゴクンッと喉を鳴らし、口の中の物を胃に落とした。


「何言ってるかよくわかったね」


「まぁね、行こうか」


 僕はそう言って、エヴァより先に歩く。

 後ろから小走りで、でも何も落とさないようにバランスをとりながら、エヴァはついてきた。


「先に試験あるでしょ? 僕はまだだから、待機するよ」


 エヴァには適当にそう話し、歩き出した。

 だが、待機などするわけがない、確かな足運びで向かったのは、黒い鱗を持つ蜥蜴人(リザードマン)、シェラと初めて会ったあの廊下だった。


「おう、ガキンチョ!」


 廊下に入ると、鍛人(ドワーフ)の男が声をかけてきた。

 この人物は、かなり前から露店を開いていたらしい。


「こんにちは」


 僕がそう話すと、鍛人はポケットから懐中時計を取り出し、時間を確認する。

 眉をあげた後、歯を見せて笑った。


「もうそんなか、早いな」


 鍛人はそう言った。


「ガキンチョ、お前は魔術師か?」


 鍛人の言葉に、僕は少し考える。

 それは、魔術師と言われるほど、魔術の扱いに長けてはいないからだ。


「どう……ですかね」


 僕はそう言って、頬を人差し指で掻く。


「なんだ、言いにくいことでもあんのか? 魔術は精神が命だ、自信のない今じゃ、魔力がブレるぞ」


 鍛人の言葉を聞きながら、僕は廊下をすれ違う人を見つめ、鍛人に視線を戻す。

 これだけ多種多様な種族がいるなら、あの現象を一人でも見た事がある人がいるかもしれない。


 僕はそう考え、手始めに鍛人に聞くことにした。

 しゃがみ込み、鍛人に目線を合わせる。


「おじさん、ちょっといい?」


 僕の言葉に、鍛人は長い髭を撫でながら不満そうに呟く。


「まだおじさんって歳じゃねぇが、なんだガキンチョ」


 眉を歪めながら話す鍛人を見て、僕も眉を歪める。

 白い髪、白い髭、手は鍛造の影響か黒く染まり、指先には硬くなった皮膚が白く盛り出ている。

 おじさんじゃないなら、なんだろう。


「夜、空がゆっくり白く染まる現象って見たことありますか?」


 僕の言葉に、鍛人はすぐに首を振った。

 

「いんや、五十年はあちこち練り歩いて過ごしてるが、一度も見たこたぁねぇな」


 鍛人はそう言った。

 五十年……おじさんじゃないか。

 人と比べると長命だから、まだ子供……みたいな話だろうか。


「そっか、ありがとう」


 僕はそう礼をして、周りを見渡す。

 廊下に溢れかえるのは多種多様の種族、等級章が見える者もいる……。

 冒険者が、魔術師が溢れているんだ。

 なら、シェラが現れるまでは情報集めだ。


 僕はため息を漏らし足を進め、目の前を歩く褐樹人(ダークエルフ)に手を伸ばした。

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