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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第四章:魔術師

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Episode:3 魔術

 エヴァと別れ、老婆が去ったあと、僕は図書館の扉を開けた。

 自然現象は前回の再配置で調べている。

 今は、魔術の本を読み漁っていた記憶がある。


「すいません……。魔術に関する本を全て、類似した物は除いてください」


 僕は受付嬢に話すと、受付嬢は満面の笑みを向け、端末を操作する。

 図書館内の本が鳥のように飛び交い、塔を築いた。

 机に積まれた本を一瞥し、僕はため息を漏らす。


 そうだ、言い忘れた。


「すいません、僕の身長ではあの高さを読むのは難しいので、裏で確保をお願いしたいです」


 そう話すと、受付嬢は再度端末を操作する。

 僕は頭を下げ、本の積まれた机に向かい、席に座った。

 受付嬢に視線を向けると、先ほどまでの笑顔は失ったのか、心底つまらなそうに端末を操作し、ため息を漏らしていた。

 直後、僕の視線に気づき、慌てて笑顔を作ったが……。


 お姉さん、もう遅いです。

 僕はそう思いながら、本の塔に手を伸ばした。

 先にやるのは、前回の再配置で読んだ物とそうではない物を分けることだった。


「これは……読んだ。これも、あとこれもだな。これは……よ……んだな」


 小さく、自分に言い聞かせるように呟きながら、分けていく。

 一刻(ひとこく)がたったあたりで、分け終わり、椅子の背もたれに体重を預ける。

 すでに疲れが溜まっているような、そんな感覚だ。

 まだ何もしていないのに……。


 僕は体を無理やり起こし、本に手を伸ばす。

 取り入れろ……じゃないと打破できない。


 本を開き、めくり、連なる字に目を凝らした。


 ありとあらゆる魔術。

 あの現象は、おそらく攻撃魔術ではないはずだ、だとしたら何か。

 どの属性から派生しているのか、それを知る必要がある。


 本を取り、めくる。

 何回も同じ動作を繰り返して、情報を取り込んでいく。


 召喚、幻術、鑑定、探知。

 それぞれの魔術の特性を見ても、答えには至らなかった。


 僕は再度背もたれに体重を預け、思考を巡らせる。


 詰み……か?

 情報がない、これだけの書物に目を通しても推測さえもできない現状に、少しばかりの焦りを覚えていた。


 もし、もしだ。

 今ある書物に何かしらの答えや、それを推測出来るものがない場合、どうしたらいいのか……。

 まだ、読みきっていないから、答えを出すのは軽率だろうか。


 僕は受付嬢の方に視線を移し、帳台裏に積んであるであろう本の山を頭の中に思い浮かべる。

 

「いや、次だ」


 僕は思考を投げ、本を手に取ると、青い髪が視界の端で揺れた。


「ルイン、やっほ」


 そう言いながら僕の前に姿を現したのは、エヴァだった。

 

「試験は終わったの?」


「うん! 完璧」


 エヴァはそう言いながら親指を立てた。

 直後、積まれた本に目を移し、眉を歪ませた。


「魔術? 魔術に関して調べてるの?」


 エヴァは目を瞬かせながらそう話す。

 今まで、魔術に興味を示さなかった幼馴染が、突然魔術について記された本を大量に読み漁っているのだ、驚くのは無理もない。


「まぁね」


 僕はそう話し、本に視線を移す。


「へぇ、意外」


 そう話すエヴァに、僕は視線を向けた。

 この再配置後の世界では、彼女は知らない。


「なぁ、エヴァ」


「ん? なに?」


 僕は彼女に声をかける。


「この図書館にある本全てに、まだ載っていない魔術があるとしたら、誰に聞けばいいと思う?」


 僕の問いに、エヴァは目を見開いた後、唸りながらも真剣に考えた。


「一番は、発動者かな」


「その発動者がわからないとしたら?」


 僕の問いに、エヴァは考える。

 青い髪がさらりと肩から落ち、綺麗な瞳が揺れる。


「冒険者……かな」


「理由は?」


「冒険者は転々とするから、情報についてかなり詳しいと思う。知らない魔術の話もどこかで聞いているかも、独自の魔術なら、隠したい魔術師もいるだろうし」


 エヴァはそう話した。

 確かに、一理ある推論ではあった。


 冒険者……。

 僕が知っている冒険者はただ一人、黒い鱗を持つ蜥蜴人(リザードマン)、シェラだ。

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