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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第四章:魔術師

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Episode:2 老婆

 僕はエヴァの言葉を聞いて、ため息を漏らす。

 あの老婆は、もしかして何か知っているのだろうか?


「なんで老人について聞くの?」


「いや、なんとなく気になっただけだよ」


 エヴァの言葉に、僕はそう話して、少し考える。

 彼女がいるのは心強いが、情報を集める今の段階では、この後に発生する出来事そのものが邪魔だ。


「エヴァ、先に学校に行ってよ。僕は、実技試験より大事なことがあるから、図書館に行く」


 そう話すとエヴァは首を傾げた。


「図書館……?」


「うん、すごく大事。実技試験より、何倍も」


 僕がそう話すと、エヴァは少し考える。

 何かを言いたいのか、魚のように口をパクパクと動かした後、何も言えずに口を閉じ、言葉を飲み込んだ。


「わかった」


 エヴァはそう言いながら、地面に視線を落とした。


「あまり無理はしないでね」


「わかってる」


 僕はそう答え、息を吐いた。


「もう少しでこの大通りは混む気がするから、早めに学校行きな。試験が終わったら、先に帰ってもいいし、図書館で合流するでもいいよ」


「うん! 行ってくるね!」


 エヴァはそう答え、走り出す。

 青い髪が揺れる後ろ姿を眺め、その姿が見えなくなってからすぐに、大通りは人で溢れた。


 多種多様な種族、店が次々と開き、客を呼び込む声が響く。

 それから半刻ほど経った時、僕はあの現象と対峙をする。


「……来た」


 僕は小さく呟いた。

 人混みの中から、あの老婆が現れたのだ。

 僕はゆっくりと歩き出し、老婆の前に立つ。


 老婆の頭には布が巻かれ、視界は遮られているはずだが、彼女は何かに気がついたように口角を上げた。


「初めまして……ではないですね」


 僕がそう話すと、老婆はゆっくりと頷いた。


「それは……私かい? それともルイン、君かい?」


 老婆の言葉に僕は首を傾げ、眉を歪める。

 

「すいません、質問の意味が……」


 僕がそう話すと、老婆はため息を漏らした。


「てことは、まだ浅いみたいだねぇ」


 老婆はそう話した。

 その声には落胆の気が混じっている。


「あなたは、この先に僕がどんなことをして、どんな未来を選ぶのか知ってるんですか?」


 僕のその言葉に、老婆は首を振る。


「そこまでは、私にはわからない。私の役割は、この日、この時間、ルイン……君に会う事だけなんだよ」


 老婆が話したその言葉に、僕は更に眉を歪める。


「まだわからない」


 老婆はそう言って歩き出した。

 小さくなる老婆の背中を見つめ、僕は声をかける。

 振り返った老婆に、僕は叫んだ。


「あなたは、僕の味方ですか?」


 その言葉に、老婆の口角が上がった。


「あぁ、ルインの味方だよぉ。でも、そうねぇ……君は、私を凄く恨むだろうねぇ……」


 老婆はそう言って、僕の前から姿を消した。


「いったい……何者なんだよ」


 僕はそう呟いて、踵を返す。

 拳に力を入れ、強く踏み出し、図書館を目指した。

 全ては……知識を手に入れるために。


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