表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第三章:異常事態

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/84

Episode:16 知識の山

 僕は少し……いや、かなり早めに家を出て、王都にある図書館に向かった。

 図書館の前で立ち、大きな建物を見上げる。


「……でかいな」


 僕は気づかぬうちにそう漏らしていた。

 王都の中でもかなりの大きさを誇る建物……。


 目印にはならないが、会話の中で大きな建物と言えば候補に入るくらいには大きい。


 それでも、僕たちが通う学校と比べると、小さく見えた。


「初めて来たかもな」


 そもそも用はないのだから来る理由もない。

 初めて来たのは当たり前だろう。


 中に入ると、玄関前の受付嬢が口に手を当てあくびをしていた。

 が……僕を見てすぐにあくびを封じ込め、笑顔を作る。


「ようこそ、数多の本が集まる場所へ」


 そう話す受付嬢は、顔が引きつっていた。

 あくびを見られたかもしれないという羞恥心か、焦りか……僕にわかるはずもなかった。


「すいません、自然現象についての本はありませんか?」


「自然現象ですか? 少々お待ちください」


 そう言って、受付嬢は変わった端末に目を向け、目を見開いた。


 僕は、受付嬢が何かを見つけるまで待とうとその場に立つ。

 眠い……出そうになるあくびを押さえるため、目を開き、背伸びをする。

 背伸びに合わせるように、視線が上に向いた瞬間、視界に飛び込んできたのは、異常なまでの本の壁だった。


「……何だ、これ」


 見上げた視界に広がっていたのは、円形で、塔のように高く伸びた空間と、壁に埋め込まれているかのように並べられた本の数。

 それでは飽き足らず、魔術で浮いた本棚や、本が無数に漂っていた。


「……外からはこんな大きくは見えなかった……」


 そうだ。

 この図書館は、外からではこんなに大きくはなかったはずだ。

 学校よりも小さいと、僕自身がしっかりと認識した。

 中は、次元が違うのか……?


 本の塔を眺めていると、受付嬢が声をかけてきた。


「お待たせしました」


「あ、あぁ」


 僕はその声にうまく反応できず、気の抜けた声を漏らしてしまった。

 

「初めて来た方は、皆さま同じ反応をされます。私も、初めはそうでした。ここには数十万冊に及ぶ本が並んでいます。正確な数字は、わかっていません。だからこそ、どんな本でも、ここにあると自負しております」


 そう言いながら、受付嬢が端末を操作すると、本が一点に集まるように飛んでくる。

 まるで鳥の様だ。


「今集めたのは百二十冊になります」


 カウンターに積み上げられていく本を見ながら、僕は眉を歪めた。


「そんなもんしかないんですね」


「正確にはもっとありますが、中身が類似している書物もありますので、勝手ながら絞らせていただきました。それに、自然現象の大半は説明がつくため、大体数冊で済むことの方が多いです。人は、異常な事は気になりますが、当たり前に流れる日常には目を向けないものです」


 受付嬢はそう言って積みあがった本を指さした。


「では、ごゆっくり」


 その声に、高く積み上げられた本を見上げ、僕はため息を漏らす。

 これ、全部見んのかよ。


 そうして、長期に渡る読書が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ