Episode:12 白く包まれる世界へ
エヴァに問い詰められてる僕を、シェラはただ見つめ、試験終了の鐘に耳を傾けていた。
鳴り止む頃、シェラは僕とエヴァを交互に見てため息を漏らし、ゆっくりと口を開いた。
「……訳ありか」
シェラはただそう呟いた。
何かを察したのか、悟ったのか、彼の本意は不明だが、確かにそう呟いた。
「言っちまえよ。俺様も気になる」
シェラは僕を見て、そう呟く。
俯いたままで返答がない僕に、彼は気まずそうな顔をした。
「……話せない……か」
シェラはそう呟いた。
嫌味ではなく、そんなもんだよなと、理解を示すような、それでいて諦めてしまったかのような、優しくも寂しい声だった。
「ごめんなさい」
僕が力無く答えると、シェラはため息を漏らしながらも、話題をすり替えた。
「帰ろうぜ。もうここにいる理由もないだろ。
送っていってやる。黒曜銀級の冒険者は高ぇんだ。無償で護衛してやるから、帰るぞ」
シェラは悲しそうに僕を見つめ、そう話した。
その声には少しの怒気が含まれていたような気もする。
僕たちは校舎、そして街を出てただ歩く。
誰も話さない。
暗くなりかけている空は、場の空気をさらに重くした。
「そうだ、ルイン。剣術はやるのか?」
絞り出すように話したシェラの言葉に、僕は頷いた。
そして、右手に持つ剣を見つめる。
「はい、お願いします」
「言っとくが、世間では魔術が中心だ。剣術がどこまで通じるのか、ルイン次第だ」
その言葉に、僕は小さく頷いた。
魔術が中心の世間、それは、剣術を扱うものへの厳しい人生を語るようだった。
エヴァの家につき、見送る。
彼女は怒っているのか、最後まで目を合わせることはなかった。
シェラは僕の背中を叩き、ため息を漏らす。
「しっかりしろ。色恋沙汰なんざこんなもんだ」
そう言って、シェラは先に歩き出す。
僕は早足でその後をついていき、歩幅を合わせた。
「……何も話せねぇのか?」
シェラは低く、僕に問いかけた。
なぜ話せないのか、話す気がないのかを確かめるためだった。
何も話さない僕に、シェラはため息を漏らす。
「おい、少しくらい……」
シェラの言葉を遮るように、僕は歩きながら口を開いた。
「……祭り前夜……僕と一緒にいてくれませんか?」
シェラはその小さな願いに首を傾げた。
「何かあるのか?」
「……わかりません」
その曖昧な返しに、謎が深まったせいか、シェラは怪訝そうな顔をする。
一体なんなんだと、だが、シェラはそれを承諾した。
「訓練ついでだ、任せろ」
その言葉は現実となり、毎日訓練をして、そして、問題の七日目が訪れた。
時は夜の十一刻と半、日付が変わるまで、後少しだった。
空は闇に包まれ、シェラのランタンが無ければ手元さえ見れない。
そんな中、僕はこれから何が起こるのか、未知の現象に体を震わせた。
「大丈夫か?」
シェラが心配そうな表情で僕を見つめ、ポーチから水を取り出す。
動物の胃で作られた水入れ……冒険者らしい振る舞いをするシェラに、僕は少し安心した。
「ありがとう……ございます」
それからは、他愛のない話をした。
それが一番気を逸らすことができた。
これから起こるかもしれない何かに、寝なければ大丈夫じゃないかと、そう考えてる僕に少しの希望を与えていた。
そして、十二刻が訪れた時、シェラが空を見上げて立ち上がる。
「なんだあれ」
シェラの声は低く、未知の現象に焦っているようだった。
暗い空は、地平線から徐々に色を抜いたように白く変わる。
その白は、波のように流れ、徐々に空から色を奪っていった。
知らない景色、知らない現象、シェラでさえも、焦りを隠せない。
「これ……まじか」
シェラがそう呟いた直後、頭上を白い光が通り抜け、異常なまでの眠気に襲われる。
シェラが地面に倒れたのを確認して、僕は意識を手放した。
次に目を覚ました時、僕はベッドの上にいた。
「ルイン! 起きなさい!」
知っている声色。
知っている状況。
僕は震える体を抱き、現実から逃げるように布団を被る。
確かめなくてもわかる。
また……来たのだ。
布団の中で恐怖を抑え込むためか、それとも現実を受け入れたくないという小さな願望か。
次の瞬間には、部屋に叫び声が響いていた。
こんにちはこんばんは、鬼子です!
かなり間が空いてしまってすいません。
特に前話......。
予約投稿の日時をミスしてしまって、投稿できていないことに気が付きませんでした( ; ; )
ちゃんと見ろよな!私!
というわけで、お待たせしました。
今後もお願いいたします。




