表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第三章:異常事態

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/81

Episode:11 試験の終わり

 シェラから受け取った剣に視線を落とし、僕は心臓の高鳴りを感じる。

 あの時と同じ状況を生み出せた。


 直後、向かいの廊下から知っている声が響いた。


「ルイン!! いた……」


 青い髪を揺らしながら小走りでこちらに向かってきた。


「エヴァ……」


「知り合いか?」


「幼馴染です」


 こちらに手を振りながら走ってくる彼女を見つめてシェラは呟く、その言葉に僕が返すと、シェラはふぅんと冷たく呟いて、エヴァを見つめる。


 エヴァはこちらに向かってきたが、次第に速度が弱まり、シェラの前に立っては顔を見上げた。

 その表情には恐怖の色が滲んでいた。


「あ……えと……」


「悪いな、嬢ちゃん、ルインを少し借りてた」


 シェラが放ったその言葉に、エヴァはゆっくりと僕に視線を移す。

 何か言いたそうだ。


「シェラ、エヴァが怖がっています」


「エヴァっていうのか……」


 僕が彼女をシェラに紹介すると、シェラはエヴァを見おろしながらやさしく笑った。


「おい、お前ら……商売の邪魔だ……。どっか行ってくれ」


 僕たちの再会に、蚊帳の外だった鍛人(ドワーフ)の声が横から入っていた。


「あぁ……すいません」


「おっと……わりぃな」


 僕は謝罪をしながら少し頭を下げる。

 その横でシェラは軽く手を挙げた。


「場所を移動しようか」


 僕がそう話すと、シェラはため息を漏らし、エヴァは小さく頷いた。


 それから少し歩く。

 校舎内、階段の踊り場で、僕たちは立っていた。

 初めに口を開いたのはエヴァ、それは今日の実技試験についてだった。


「ルイン、試験はどうだったの?」


 その言葉に、僕は首を傾げる。

 彼女は、まだ僕が試験をサボったことを知らない様子だった。


「そういうエヴァはどうだったの?」


 僕の言葉に、エヴァは一瞬暗い顔をしたが、すぐに明るく振舞って見せた。


「合格、それに、卒業後に魔術師の弟子にしてもらえることになったの」


「おめでとう。よかったね」


 エヴァの言葉に、僕は素直に賛辞を贈る。

 だが、その言葉を聞いたエヴァの顔は少し寂しそうだった。


「で、ルインは?」


「いや……僕は……」


 言い淀む僕に、エヴァは首を傾げた。

 その様子を横で見ていたシェラが、ニヤリと笑い口を開いた。


「こいつ、サボったんだよ」


 その言葉に、エヴァは目を見開き、僕を見つめた。

 驚いたような表情で、エヴァは僕を見つめ、唇を震わす。


「なんで……」


「なんでって……」


 エヴァの言葉に、僕は言葉を詰まらせる。

 理由は、言えない。

 繰り返す日常を、確かめるために行動したなんて言えるわけがない、記憶を持てない彼女に、記憶のないシェラにそんな説明は、できない。


「わかってるの……? この実技試験、すごい大事なんだよ? 課題を決めて、魔術で対抗する術を学ぶ機会なんだよ?」


 その言葉に、僕は歯を食いしばる。

 説明出来たら、楽だろうか……。

 

 そんなことを思いながら、僕は二人を見つめる。

 おかしいのは僕か……世界か……。

 まだ理解が追い付かないことが多く、一歩踏み出せない自分がいる。

 そのことを、一番理解してるのは僕だ。


「今度、機会が合ったら説明するよ」


 僕がそう話した直後、試験終了の合図が校舎に響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ