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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第三章:異常事態

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Episode:9 不確かな違和感

 シェラと共に、ただ歩く。

 砂を蹴る音は、校舎に入り廊下のタイルを叩く音に切り替わる。


 何も話さない、ただの静寂。

 落ち着くような、感情が波打つような、言葉で言い表せないような複雑な感情が僕を包む。


 そんな時、シェラが歩きながら視線だけを僕に向け口を開いた。


「試験はどうした?」


 シェラの言葉に、僕は苦笑いしながら話す。


「サボりました」


「良かったのか?」


 僕の言葉に、シェラはそう問いかけた。


「はい……選択としては間違いかもしれませんが、後悔はしていません」


 僕がそう話すと、シェラは鼻で笑う。


「変なやつ」


 吐き捨てるように、表情を変えずシェラは話した。

 その言葉には呆れたような雰囲気と、少し嬉しそうな声色が混じっていたような気がする。


「そうだ……僕に、剣術を教えてください」


 僕が話したその言葉に、シェラは僕を睨む。


「……戦いたいのか?」


 シェラが呟いたその言葉に、僕は首を小さく振る。

 戦いたい、そんなわけない。

 痛いのは嫌だし、戦うなんてもってのほかだ。

 ただ……。


「これから来る何かに備えたいんです」


「未来の話か……。確かに、守るものが増えた時に手段を知らなかったら守れないもんな」


 僕の言葉に、シェラは頷いて顎をさする。


「俺様の剣術は高いぞ?」


 ニヤリと笑いながら、シェラはそう呟いた。

 高い……。金の話だろう。

 当たり前だ、前回に会った時が優しすぎただけなんだ。


「……なんとかします」


 僕がそう話すと、シェラはため息を漏らし、頭を掻く。

 爪と硬い鱗が当たるのか、カチカチと音を立てる頭は、騒がしいこの場には少し不釣り合いな気がした。


「いや、やっぱりいい。教えてやる……金はいらねぇ……」


 シェラはそう話すと、僕を見つめた。


「今日、一緒に帰ろう。そうすれば、遅くまでできる」


 シェラはそう言いながら、舌を出した。


「ありがとうございます」


 僕のその言葉に、シェラはひらひらと手を振りながら視線を前に向けた。


「まぁ、遠い未来に、何かあるかもしれないが、数日、数ヶ月で何か問題が発生するわけじゃねぇ……気楽に行こうぜ」


 シェラは確かにそう話した。

 やはり、僕以外は異変に気がついていない。

 異変……。

 まだ、現実感がない……というよりは、曖昧。


 夢と、現実の境を歩いているような、フワフワとした気味の悪さが、僕を包んでいた。

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