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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第二章:あの日から

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Episode:16 剣術訓練2

 暗い中、僕はただただ剣を振るう。

 何も考えてない、感覚だけで剣を振り続けた。


 それからどれくらい経ったか……。

 長い時間振っていたような気がするし、短いような気委もする。

 依然としてシェラは僕を見つめていた。


「よし……かなり慣れただろ」


 シェラはそう言いながら立ち上がり、僕を見つめた。


 慣れた……。

 とは程遠く、何も考えずに剣を振っていたためか腕が重い……。

 わかりやすく、筋肉が悲鳴を上げていた。

 

「えっと、腕が……」


 これではまずいと思い、僕は素直にシェラに打ち明けた。

 だが、返ってきたのは意地の悪い笑顔だけ。


「わざとだよ」


 シェラは間違いなくそう呟いた。


「……え」


「実戦じゃ、力が入らないから待ってくださいなんてない。ルイン、戦場に必要なのは基礎なんかじゃない、頭と、死に際だ」


 その言葉は重く、僕の心に響いた。

 

「死に際って……」


「そのままだよ。生物ってのは、死ぬかもしれないって瞬間が一番成長する。だからと言って死んだんじゃ意味がないからな、死なないための努力は必須科目だ。でも、そんなものは学校じゃ教えてくれない、むしろ、危険なことはやめてほしい……これが本心だ。だがな、そんな優しさは戦場では役に立たない。俺様が教えるのは、闘い、生き抜くための感覚と、技だ。かなり時間はかかるけどな」


 シェラはそう話しながらニヤリと笑う。

 

「じゃあ、始めるぞ。まずは……そうだなとりあえず剣を持って顔の前で構えろ」


 その指示に従い、僕は剣を構える。

 かなり振っていたこともあるためか、持ち上げるだけでもきつかった。


「まずはその姿勢だ。弱点は腰から上、その位置に構えておけば、致命傷となる攻撃は基本防げる。あとは反応速度の問題だけどな」


 シェラは僕の構えを見るように、ランタンの周りをグルグル回る。


「いいな、少しの間はその構えを保て。それと、腰を落とせ、常に腰を落としておけば、下半身に対しての攻撃を防げるし、次の踏み込みにも繋がる、細かく変化はわかりずらいが、必要なことだ」


 シェラはそう話して、僕を睨む。


「まずはその姿勢を維持、俺様がいいっていうまで。今日はそれで終わりにする」


 僕はその言葉を聞き、歯を食いしばる。

 いくら僕が素人とはいえ、これだけでは成長にはつながらない。

 そう思いつつも、シェラの言い分にも納得してしまう僕自身に、少し苛立ちを覚えていた。


 ランタンの灯りで影が揺れる。

 それからどれほど経ったか、汗が地面に落ち、土に染み込む。

 時間が経つにつれ、切先はブレて構えが崩れていく。


 シェラはそれを見て、頷いた。


「よし、もう十分だ。帰って休め、また明日。続きをやる」


 シェラのその言葉を聞きながら、僕は切先を土に落とし、肩で息をする。

 大した動きはしていない、ただ……姿勢を保っていただけだ。


「初めてでこれだけ保てるなら上出来だ。剣術ってのは、知識だけじゃなく身体に染み込ませなきゃ意味がない。時間はかかるぞ」


 シェラはランタンを拾い上げ、火を消しては持っている袋に押し込んだ。


「俺様もかなり時間がかかった。焦るな、ルイン」


 その声に、僕は呼吸を整えながら頷いた。


 村の明かりも消え始める時間、僕とシェラの訓練は、本格的に動き出した。

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