表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第二章:あの日から

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/79

Episode:9 強き者

 僕は剣を左手に持ち変え、ゆっくりと深呼吸をする。


「さて、ルイン。これからどうすんだ?」


 シェラのその声に、僕は首を傾げた。

 まるで真似でもするかのように、シェラも首を傾げ色彩豊かな瞳の瞳孔が狭くなる。


「いや、もう何もすることねぇんだろ? まだ全員の試験は終わってねぇだろうし、正式な手順ってのも待たなきゃいけねぇんだろ?」


 シェラのその言葉に、僕は「あぁ」と声を漏らす。


 忘れていた……。

 正式な手順を踏まなくては、引き抜きや推薦ができない。

 シェラはそれを待っていたんだ。


 直後、鍛人(ドワーフ)が口を開く。


「あ? あれか? 弟子とか、生徒にしたいとか、そう言った話か?」


 鍛人が話した言葉に、僕は視線を鍛人に移して頷いた。


「はい」


「なんだ、お前さんたち、まだ浅い仲だったんだな。武器を贈るなんてするから、てっきり仲間か何かだと思った」


 鍛人が言ったその言葉に、僕はシェラを見つめる。


「……仲間」


「なるほど、仲間ってんなら、正式な手順とやらはいらないのか?」


 シェラは鍛人に視線を移し、問いを投げる。

 鍛人はそれを聞いて、髭をさすりながら頷いた。


「仲間ってのはな、心でなるもんなんだよ。契約や誓約じゃねぇ、人情って奴だ。そんなもんに、手順なんかあるわけがねぇ」


 そう話した鍛人の言葉に、シェラは頷きながら笑う。

 まるで何かいいことを思いついたような不適な笑みを浮かべた。


「ルイン、俺様は仲間だ。だから、正式な手順を踏まなくてもいいと思うんだ」


 シェラは僕に視線を移してそう話した。

 その顔は真剣で、ふざけているようには見えない。

 それでも、僕は聞いてみることにした。


「本心は?」


 僕の言葉に、シェラは深呼吸をし、腰に手を当て胸を張る。

 そして、堂々と口にした。


「めんどい!」


 そのハッキリとした言葉に、僕は逆に清々しく感じた。

 悪気はない純粋な気持ちだからだろうか。

 それと同時に、この人なら、シェラなら信じても悪い気はしないと、直感がそう言った気がした。


「はは、まぁ、じゃあ、仲間ってことで」


 僕がそう話すと、シェラは笑い、頷く。

 満足そうに笑うシェラの顔は、刺すような眼差しではなく、優しく包み込むような眼差しだった。


 シェラという人物が、どんな人間…………いや、蜥蜴人かはわからない。

 でも、僕は自身の直感を信じてみることにした。


「よろしく頼むな」


「はい、お願いします」


 僕のその言葉に、シェラは頷いた。


「シェラさん……。シェラは、普段は何を?」


「俺様かぁ?あー……冒険者だ」


 シェラの言葉を聞いた僕は、妙に納得した。

 蜥蜴人は元々筋肉質な身体付きをしていると聞いたことはあるが、それにしてもシェラは筋骨隆々の体格に見えた。

 大きな曲剣を携え、それを振るうとなれば生半可な努力ではないのだろう。


「えっと……等級を聞いてもいいですか?」


 僕がそう話すと、シェラは僕から視線を逸らす。


「いや、まぁ……そんな大したことねぇよ」


 そう話すシェラは、僕から目を逸らすが、隣に座っていた鍛人が口を開く。


「嘘つけ蜥蜴人」


 そう言って鍛人は蜥蜴人の首を指差す。

 そして、鍛人はニヤリと笑って口を開いた。


「その首に見えてる金属製の黒鎖、鱗と同化してるからわかりづらかったが、お前さん、最高等級だろ」


 鍛人のその言葉を聞いて、蜥蜴人はため息を漏らした。

 最高等級……。

 もしかしたらシェラは、隠したかったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ