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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第二章:あの日から

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Episode:6 知らない一日

 重い足音が響き、校庭が静寂に包まれる。


「変わった魔力の匂いだぁ……」


 そう言いながら姿を見せたのは、先ほどの知らせで種族名が挙がっていた蜥蜴人(リザードマン)だった。


 身長は高く、一般の種族よりも大きいのが一目でわかる。

 竜の末裔……そんな噂に恥じない体格をしていた。


 蜥蜴人は僕に近づき、見おろす。


「あんちゃん、さっき廊下にいたやつだろ?強そうには見えなかったが、もしかしてつえぇのか?」


 蜥蜴人はゆっくりとしゃがみ込み、僕に顔を近づける。

 そして鼻を鳴らした。


「間違いねぇ……匂いはここからだ……」


 黒く大きな頭……色彩豊かな爬虫類種の瞳……。

 頬には爪でできた傷跡のような化粧……。

 民族衣装のようなヒラヒラとした装備に、人くらいあるサイズの大きな曲剣……。


 視界に入る情報全てから、彼が強者であり、猛者であることが容易にわかった。


 直後、男性教師が僕の肩を掴み、蜥蜴人から引き離す。


「この子に何か用でしょうか? 弟子への勧誘や、引き抜きなどは、後ほど正式な手順を踏んで行ってください」


 男性教師がそう話すと、蜥蜴人は教師を睨み、ゆっくりと立ち上がった。


 大人と比べても、頭一つ、二つ分は高い。

 その筋肉質な長身から放たれる威圧感は、この場にいる全員が感じていただろう。


「もし、今ここでってなったら……アンタらはどうすんだぁ?」


「そうですね……そうなった場合は……」


 蜥蜴人の言葉に、男性教師はしっかりと蜥蜴人を見つめ、不敵に笑う。

 戦闘態勢とは程遠く、男性教師はバインダーを地面に投げ捨て、ポケットに手を入れた。


 直後、男性教師の全身から魔力の渦があふれ出した。

 

「そうですね……俺一人じゃ、あなたに勝てないでしょう……でも……」


 教師が話し始めた瞬間、どこからともなく、教師が数人現れた。

 いつの間に……。

 音もなく、気配もしないまま、十人程度の教師が、蜥蜴人を囲んでいた。


「この人数で、あらゆる魔法を扱えば……どうですかね?」


 蜥蜴人はこの状況を見て、舌打ちをして、教師から少し離れた。


「はぁ……。そんなピリピリすんなよ。正式な手順ってのは、どうやるんだ?」


「争わずに済むのは俺たちも助かります。正式な手順は後ほど校内放送で流れます。それまでは、他の生徒もいますから、見学や視察をお願いいたします」


 教師は優しい声で話すが、依然として手はポケットに入れたまま、言葉には威圧の念がこもっている。


「そうか、じゃあ、そうさせてもらうわ」


 蜥蜴人はそう言って踵を返し、校舎に向かって歩き出す。

 だが、何かを思い出したかのように足を止め、振り返り僕を睨んだ。


「あんちゃん、名前は?」


「…………ルイン」


 僕の返答に蜥蜴人はニヤリと笑い、口を開いた。


「俺はシェラ……シェラ・ムー。よろしくな」


 そう言って、シェラと名乗った蜥蜴人は校舎に入っていった。

 名前を聞けたのが嬉しいのか、あまり人と話さないのか、去り際に尻尾を少し振っていたような気がしたが……きっと気のせいだろう。


 僕は安堵の息を漏らし、快晴の空を見上げた。

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