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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第二章:あの日から

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Episode:4 知っている一日4

 蜥蜴人(リザードマン)は僕を見おろし、にやりと笑う。


「なんだあんちゃん? 俺様に何か用か」


 低い声が耳に刺さり、全身の筋肉が硬直する。

 怖い……圧倒的な力の差に、全身が恐怖を感じていた。


「僕と、どこかで合いませんでしたか……?」


 僕の問いに、蜥蜴人は顎をさすり、少し考えるように瞼を閉じる。

 

「ねぇなぁ……まったく記憶にねぇ。わりぃな」


「…………そうですか……人違いかもしれません」


 そう話すと、蜥蜴人は軽く頷いて、怒号の響く方に顔を向ける。


「面白そうなことやってんじゃねぇかぁ……」


 牙を見せながらそう呟き、蜥蜴人は人混みの中をかき分けて進んでいく。

 恵まれた体格を持つ蜥蜴人は、数十人の中でも、位置がわかるほど、身長が高く、それだけで威圧感があった。


 そして、彼が立ち止まった瞬間に、喧騒が止まる。

 廊下が一瞬にして静まり、ギャラリーまでもが口を閉じた。


「……夢と同じ……」


 僕がそう呟くと、話を終えた蜥蜴人が戻ってきた。


「っち……つまんねぇの」


 僕の目で立ち止まった蜥蜴人は、舌打ちをしながら僕を見おろす。

 

「強い奴知らねぇか? 俺様が負けるくらいつえぇ奴。ヤベェ奴」


「……知らない」


 その声に、蜥蜴人は肩をわかりやすく落とし、ため息を漏らした。


「そうかぁ……知らねぇか……もし見つけたら、教えてくれ。あんちゃんとは長い付き合いになりそうだ。俺様の直感がそう言ってる」


「……わかった」


 僕がそう返事をしたと同時に、爆発音が大気を揺らし、校舎が揺れた。


「魔術失敗したぞ!!」


岩人形(ゴーレム)だ! 先生呼んで!」


 他の生徒が叫んだその声に、蜥蜴人は鼻先を動かしてニヤリと笑う。


「あっちの方が面白そうだぁ」


 まるで悪人のように牙をむいて笑う蜥蜴人は、足早に歩き始め、そのまま姿を消した。


 一緒だ。

 すべてが……。

 

 予知夢ってこんなに当たる物なのだろうか……。

 何が起きているんだ。


 廊下を見つめ、予知夢と同じことが起こっている現象に喉を鳴らす。

 僕はいまだに、何が起きているかわからず、ただただ混乱するばかりだった。


「おい、ガキンチョ」


 蜥蜴人が消えた廊下の先を見つめる僕に、鍛人が声をかける。


「……はい?」


 僕は廊下の先から鍛人に視線を移し、ただまっすぐ見つめる。


「お前さん、今日実技試験なんだろ?時間は大丈夫なのか?」


 鍛人の男は長い髭をさすりながらそう話した。

 僕は時間を気にせずに、ただ今の異常を眺めていた。


 予知夢、まったく同じ光景、言葉、違和感は。

 それらの要素は、僕の心を揺さぶるのには十分すぎた。


「おじさん、今は何時?」


 僕は少しおびえていた。

 きっとそれは声にも出ていた気がする。


 僕の質問に、鍛人の男はポケットから懐中時計を取り出し、ため息を漏らしながら答えた。


「今は……えっと」


 そう話す鍛人の口元を僕は眺めながら、ほぼ同時に話すように、小声で記憶を漏らした。


一刻(ひとこく)と半だな」

「一刻と半……」


 同時に話した僕を見て、鍛人は眉を歪めて僕を睨む。


「時間を知ってたのか?」


「……知りませんよ」


 僕がそう答えると、鍛人はため息を漏らして僕から目をそらす。


「客じゃないなら用はねぇ……失せな」

 

 鍛人は気を悪くしたのか、そう吐き捨てた。


「すいませんでした」


 僕は鍛人に軽く頭を下げて歩き出す。

 とりあえず……実技試験に……。

 歩き出した僕の手は、緊張とは違う何かで震えていた。

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