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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第九章:境界線

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Episode:7 原因

 僕は、周りの風景、建物を確認しながらゆっくりと口を開く。


「ティリアの話すことが本当で、ディジーの言葉の可能性を含めると、魔術を使った何者かが、宿に侵入して僕たちを殺害した……。そういうことですか?」


 僕の言葉に、ディジーとティリアは頷いた。


「ですが、僕たちは宿の話をしていません。決めたのは酒場を出てからでした」


 僕がそう話すと、横に立つシェラが口を開いた。


「だったら、その酒場で誰かに目をつけられたんだろ」


 シェラはそう言ってため息を漏らす。


「何か変わったことはなかったのかい?」


 ディジーは銀髪を揺らし、腕を組みながら話した。

 その言葉に、僕は少し考えて口を開く。


「確かに、酔っぱらった冒険者とシェラが言い争いになりかけましたが、それだけで殺しますか?」


 その言葉に、シェラの目つきが冷たくなる。


「冒険者ってのは、特性上血気盛んな奴が多いんだよ。ありえない話じゃねぇ……」


 シェラはそう話す。

 だが、考えることはやめていなかった。

 そうは言いつつも、シェラ自身も、可能性は少ないと見ているのだろう。


 そしてもう一人、その線を考え、自身で拒絶した者がいた。


「可能性はなくはないと思うけど……それでも限りなく低いんじゃないかい?」


 そう話したディジーは、僕を見つめて真剣な表情で話を続ける。


「こんな広い街。それも、当然表れて偶然喧嘩になっただけの冒険者を殺すなんて、危険ばかりで利益が出ない。無駄だよ」


 ディジーが話したその言葉に、シェラも頷いていた。


「だとしたら?」


 僕はそう話す。

 結論がなかなか出ない現状に、少しばかりの焦りを覚えていた。


「だとしたら……」


「だとしたら、もっと大きい組織ニャ。人を殺すことに特化した、また別の。あの酒場には仲間がいて、ティーちゃんたちを見つけたから、伝達した……と考えるのが妥当だと思うニャ」


 ディジーの言葉を遮り、ティリアはそう話した。

 略奪者(ハーラッシュ)ゆえの視点も活きているのだろう。

 

「でも、そんな組織がこの街にいるなんて……」


 僕は少し考えた後、ある記憶が脳裏を駆け巡った。


「バルド……?」


 僕が呟いた言葉に、シェラの目が細くなる。


「ありえねぇ話じゃねぇな。誘拐して人身売買をするにも、拠点となる街は一時的にでも必要になるはずだ。バルドが率いていたのか、バルドが下っ端かわからねぇが、この街に仲間がいる可能性はありそうだ」


 そう話すシェラは瞳孔を細くして、周囲の警戒に入る。

 今、現状で一番可能性が高いと判断したのだろう。

 全員が周囲に警戒を向け、視線の動きが忙しくなった。


「なら、どう行動する? ルイン」


 ディジーが僕を見ながらゆっくりと話し始めた。


「街中に敵がいるなら、もうバレてるかもしれない。もちろんバレてない可能性もあるが、何が原因でバレたのかわからない以上、別行動とかは危険だよ」


 ディジーはそう話す。

 間違いのない意見だった。

 それに答えたのは、僕ではなく、シェラだった。


「もうバレてるんならよぉ? ――やり合おうぜ。どうせ逃げても追ってくんだからよ」


 そう話すシェラを、ディジーとティリアが睨んだ。


「相手は黒曜級複数人に対して襲撃するような連中だよ? どれ程の戦力があるかわからない以上、闘うのは得策とは言えない」


「ティーちゃんもそう思うニャ、略奪者は奪ってからが仕事の始まりニャ……確実に勝てる相手だけを狙って来るはずニャ」


 ティリアのその言葉を聞いて、シェラの眉が歪む。


「つまり、こう言いてぇのか? 俺様が、俺様たちが、確実に勝てると思われてるほど弱いって」


「そ、そうじゃないニャ」


 凄んだシェラの顔を見ながら、ティリアは訂正する。

 ここで止めなくては、シェラは暴走してしまうだろう。


「シェラ、少し待ってください」


 僕が発した言葉に、シェラは眉をさらにキツく歪め、僕を睨む。


「――なんだよ」


「もし、まだ僕たちが見つかっていないなら、何も起きないのが一番です。戦闘し、今後の旅に影響を与えるのが今は一番避けたいんです」


 そう話すと、シェラは拳を強く握ったが、すぐに力を抜き、ため息を漏らした。


「だが、もし戦闘になったら暴れるぞ?」


「はい、その時はド派手にお願いします」


 僕がそう答えると、シェラはニヤリと笑った。


「で、どうするんだい?」


 ディジーは話しながら腕を組み、僕を見つめる。


「方針を決めなきゃ、動けないじゃないか」


 ディジーのその言葉に僕は少し考え、結論を出した。


「酒場に行きます」


 僕の提案に、全員が目を見開く。

 殺される原因となったかもしれない酒場に、もう一度行こうと話しているのだ。

 そんな顔をしてしまうのも無理はない。


「なんで……」


「まず、何が原因で殺されたのか、それを知る必要があります。もし、ニフニルに入る前に原因を作っていたなら、それを解消する動きをしなくてはいけません」


 僕がそう話すと、ディジーは目を瞑り、唸る。


「あまりいい策とは言えないが……ルインの言っていることも理解はできる。試してみる価値は……あるか」


 ディジーは葛藤しながらも、結論を導き出した。


「いいよ、アタシは賛成だ」


 ディジーは眉を歪めながらもそう話した。

 その言葉に、シェラと、ティリアも頷く。


「では、行きましょう」


 そうして、僕たちは酒場を目指した。


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