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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第八章:欺瞞

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Episode:16 言わなかったこと

 ――ルイン


 僕はゆっくりとシェラを見つめる。


「ルイン、なんで言わなかった。今何回目だ」


 シェラは、僕を見ながらそう話した。

 ディジーは状況が飲み込めず、視線を動かしながら僕とシェラを交互に見る。


「な、なんの話だい」


「ルインは、森に来るのが初めてじゃねぇ……。こいつ、隠してやがった」


「な、なんのために……」


 シェラとディジーの話を遮るように、僕はため息を漏らす。

 その光景を、ティリアはただ眉を歪めたまま見つめていた。


「この方を引き入れたかった。獣人の略奪者(ハーラッシュ)。それを仲間にしたいと言ったら、シェラは許してくれますか?」


 僕がそう話すと、ティリアもシェラも眉をさらに歪める。


「オメェ、何言ってるか分かってんのか?」


 シェラは僕を睨む。


「略奪者ってことは、冒険者を殺して生計を立ててるゴミ溜めの連中だ。それをわかって、言ってんのか?」


 シェラは声を低くして、そう呟いた。

 僕はその言葉にティリアを見下ろす。


「知っていますよ。誰よりも……僕はこの人に、二桁以上殺されてる。この場にいる誰よりも、身体、心に刻まれています」


 僕がそう答えると、シェラとディジーはティリアを見つめた。


「きっと、これが最後です」


 そう言って、僕は彼女の短剣を蹴り、遠くにやる。


「ティリア・ファレット、世界は繰り返されています。冒険者でもない僕が、あなたのあの速度の攻撃を回避したのが証明です。再配置を止めるため、僕に協力してくれませんか?」


 僕がそう話すと、ティリアは少し怯えた様子で僕を見つめる。


「な、何を言ってるニャ……。イ、イカれちまってんのかニャ」


 ティリアがそう話すと、僕はため息を漏らした。


「まぁ、ええ。あなたに十数回と殺されて、イカれてるかもしれませんね」


 僕はそう言いながらティリアを睨んだ。


「あなたを殺した時、短剣を奪って先に進んだ周回があったんです。でも、今の僕たちはその短剣を上手く扱えず、死ぬ羽目になった。だから、扱いが上手いあなたを引き入れたい」


 僕がそう話すと、ティリアは歯を食いしばり、地面に手をついた。

 その勢いで蹴りを放ったが、僕は軽く受け止め組み伏せる。


「ここまでも見てます」


「――っ!」


 掴んだ足をあらぬ方向にゆっくりと圧力をかける。


「どうしますか? 仲間にならないなら、足を折ります。十数日は立てないでしょう、家族もきっと悲しむ」


 僕がそう話すと、ティリアは歯を食いしばり、地面を強く叩いた。


「クソッタレ! そんな事も言うのかニャ! そんな脅し、効かニャい! ティーちゃんは、ちゃんと一人で生きるニャ!」


 ティリアはそう叫んだ。

 数回前、家族のことについて話したことがあった。

 人質に取るためだったが、ここまで豹変したのは初めてだった。

 懐中時計に入れられていた写真。

 あれは、家族が生きていて、大切にしているか、すでに死んでいて、形見にしているものだと思っていたが、反応を見るに少しばかり違うような気がする。

 断定ができるわけじゃない、だが、そんな感じがした。


「折るなら折れニャ!」


 ティリアは僕を睨む。

 その気迫に、僕は少しだけ力を緩めた。


「すいません。そんなに怒るとは……」


 僕を睨むティリアは涙を浮かべる。

 冒険者嫌いは、どこから来たのか。

 家族を大切にする彼女は、何回繰り返しても、極悪非道な略奪者には見えなかった。

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