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君に寄り添う六日間、世界が消える一日  作者: 鬼子
第八章:欺瞞

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Episode:6 伝達

 ディジーは僕とシェラを交互に見ながら慌てる。

 困惑、疑念、多様な感情が混ざり合い、本人でさえも理解し得ない、そんな表情に歪んでいた。


「な、何言ってんのさアンタ達!」


 ディジーの言葉で僕とシェラは顔を見合わせる。


「僕の名前はルイン、先ほども言いましたが、仲間になってくれませんか?」


 その言葉を聞いて、ディジーは頭を掻く。

 目の前で起きている状況が飲み込めていない。

 そこで、シェラが僕の前に出た。


「えっと……」


「ディジーです」


 名前がわからないシェラの呟きを補填するように、僕が彼女の名前を教えると、シェラはため息を漏らしながら僕を見た。


「逆に警戒心強まるだろ、それ」


「早めにお願いします」


 シェラは僕を見てから、小さく首を振りため息を漏らす。

 全く、ため息が多いな。


「俺様の名前はシェラ・ムー。正直に話すと、俺様もまだ状況が呑めてねぇ。立場はディジー……オメェと一緒だ。だからこそ、同じ立場にいるからこそ、話だけでも聞いてやってほしい。アイツはあんなだが、多分悪い奴じゃあない。じゃないと、あんな顔をしないだろ」


 シェラはディジーにそう話しながら僕を悲しそうに見つめる。


「でも…………アンタ達……あぁ、クソ! 聞くだけ聞く!」


 シェラの言葉をしっかり咀嚼し、半強引に思考を切り替えたディジーが頭を掻きながら怒鳴る。


「で、話しなさいな、アンタ達のこと!」


 ディジーはそう話す。

 覚悟、が完全に決まったわけではないだろうが、彼女の探究心、知らないことに対する渇望が彼女を動かしているのは明白だった。


「だとよ、ルイン」


 ニヤリと笑い、牙を見せながらシェラは僕に話す。

 振り向いた彼は、目に興味の色を浮かばせていた。


「取り敢えず、前提として世界は繰り返していること、僕だけが先を知っていること、なので、僕の指示に従うこと……これらを頭に入れてください」


 僕がそう話すと、シェラは頷く。


「おう、わかった」


「わかんないわよ!」


 シェラの返答に、即座にディジーが答えた。

 そんなディジーをシェラはため息を漏らしながら見つめ、腕を組む。


「わかんねぇーのか」


「いや、なんでそんなあっさり了承するのよ、バカ?」


 ディジーのその言葉に、シェラはムッと眉間に皺を寄せる。

 彼女は再配置を理解していない、理解どころか事前知識がない。

 シェラのように、以前の再配置経験者と接点があるわけではないから、理解できないのは仕方のないことだった。


「シェラは、かなり前に再配置経験者と会っています。だから、飲み込みが早い」


「前回の俺様は、そこまで話してるのか」


「はい、あなたが隠すように首にかけている黒曜金級の等級章が誰なのかも、話してくれました」


 僕がそう話すと、シェラは驚いたような顔をしたあと、優しく笑う。


「前回の俺様は、オメェを信用してたんだな」


 そのやりとりを、ディジーはただ立ち尽くし、見ていた。


「二人で勝手に話を進めるんじゃない」


 ディジーのその言葉に、僕とシェラは彼女を見つめる。


「悪りぃな。ルイン、続き」


 シェラのその言葉に、僕は頷いた。


「はい。僕たちはこれから、東の果てにあるとされる洞窟に向かいます。そこにいる魔物が、再配置の元凶だと、情報があります」


「確証はあるの? あるとされるって、かなり曖昧だけど」


 僕の言葉に、ディジーが長い耳を動かしながらそう答える。

 それは、疑いだった。

 信用に値するか、命を預けられるかどうか。


「正直、わかりません。まだそこまで……なんなら、今日すらも乗り越えられていないんです」


「乗り越えられていない?」


 僕の話に、ディジーは首を傾げながら腕を組む。

 その疑問の答えを、最も簡単で、最も残酷に伝えたのはシェラだった。


「死んだんだろ」


 静寂が流れる。

 人が溢れる廊下でこの場所だけに、重い空気が流れた。


「はい、全滅です」


 僕がそう話すと、その返答は予想外だったのか、シェラと、ディジーは目を見開く。

 直後、場の雰囲気が変化する。

 異常なまでの圧、体が重くなり、汗が滲む。


「相手は?」


 シェラがそう唸る。

 彼から感じ取ったのは怒りではない。

 感じ取ったのは、純粋な闘争心。

 強者と戦い、殺したいと昂る感情。

 そしてそれは、シェラの顔に滲み出ていた。


獣人(アニマ)……略奪者(ハーラッシュ)です。等級は、最低でも黒曜銅級」


 僕から発された情報に、シェラは笑みを浮かべる。


「いいねぇ、殺し甲斐がある」


 その声は、この場の誰をも圧倒するほど重く響いた。

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