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同級生の姉

送る会も終了し、最後に学年主任の先生が話している最中に森島幸信は考えていた。どうすれば彼女の事を知れるのかを。なにせまだ名前も何年生かも分からない。


送る会が終わり教室へ引き上げる際に体育館の外でさっきまで演奏していた吹奏楽部が集まっていた。


森島幸信は周りの同級生に不審に思われぬ様にわざと歩調を緩めた。彼女を探すために。


彼女は誰かと話している。相手は同級生の槌田雪芽だ。


「あ、槌田によく見たら似ている・・背は高いな。姉ちゃん?」


森島幸信は察した。6年生が卒業した今吹奏楽部は4年生と5年生しかいない。


「5年生・・槌田の姉ちゃん・・・」


二人はお互いの担当楽器を持って楽しそうに笑っている。槌田雪芽はフルートを担当していた。


いや、彼にとって同級生の槌田雪芽などはどうでもよいのだ。歩きながら森島幸信はずっと彼女を食い入る様に視感していた。


白いブラウスを着てトランペットを持ち、笑顔の彼女に森島幸信は興奮していた。そして彼女の笑顔が自分に向けられた物では無い事に怒りも感じていた。


「あのトランペットを彼女の前で壊したい。彼女はどんな表情をするのだろうか?もしかして笑ってくれるかも・・」


森島幸信の歪んだ感情が出始めて来ていた。それは彼の人生で自分のコミニュケーション能力が無いが故にくる孤立を、周りが悪いと人のせいにして来た彼の心が産んだ闇の部分だった。彼は人の気持を上手く理解出来ない。


気がつけば5年生の下駄箱にいた。槌田は比較的珍しい苗字だ。5年生は4クラスあるがすぐに見つけた。


「槌田真綾っていうのか・・」


ただ彼は成績はあまり良くなかった。


「真綾ってなんて読むんだ?」

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