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幻に迷う

後ろめたい過去のひとつやふたつ・・・・ふ・・・・

「・・・・・なんで貴志がいるの?」


私は驚き固まっていた

目の前にいるのは前の世界の元カレ青山貴志に間違いない

すらっとした細身の身体に真っ黒な髪、少したれ目の彼は優しい人だった

その優しい彼を私はフッたのだ

2年付き合って優しいだけの彼が嫌になって


「俺の事、好きだって言ったよね?」

私を見て静かに口を開く貴志


私はその声を聞いて目を泳がせた

久しぶりに聞く声、心臓がドクドクいっている


「アキラに乗り換えたんだ・・・・・」

その言葉、聞きたくなかった

貴志とアキラは友達の友達といった関係だったので面識がある

私が貴志と別れて3か月後にアキラと付き合い出した

当時はその事に少し後ろめたさを感じていた


「俺の方が・・・・・香織(カリン)を幸せに出来たのに」

確かに貴志と結婚していたら、この世界に来る事もなかったかもしれない

ゆっくりと私に近づいてくる貴志

私は動けずにいた

私の頬に指を滑らせ、ゆっくりと顔を近づける

その顔はみるみると変わり何故かエル王子の顔に


「俺のモノになれば幸せになれる」

そっと口づけをする

私は目を見開き力いっぱいエル王子を突き放す

頭に血が上り、涙目になってくる


「っ私は!私の幸せは私が決める!幸せにしてもらうんじゃなくて、私が自分で幸せになるの!」


突き放したエル王子の瞳が悲しい色に染まる

「君が自分で選ぶがいい・・・・」

薄らと笑みを浮かべ消えて行く

白い霧が晴れていく

奥に続く道が見えた

なんだったんだ、今のは?

まだ心臓がドキドキしていた

何だかモヤモヤする気持ちのまま、奥に進んだ


道の先に光苔が輝く緑色の大きな空間が広がっていた

真ん中には見事な青の泉がある神秘的な場所だ


「カリン!!」

アキラが違う道から走ってきた

無事でよかった・・・・っと私に抱き付く

私はさっき会った元カレ貴志の顔が浮かび、アキラをそっと抱き締め返す

そのうち、魔法使いゼロも小走りでやってきた

抱きしめ合ってある私達を見て頬を赤くし視線を逸らす

私はそそくさとアキラから離れた


「アメリアとエル王子は?」

魔法使いゼロが辺りを見回すと、それぞれ違う道から歩いて来る姿が見えた

巫女様(アメリア)は微笑み手を振っているが、エル王子は何故か浮かない顔をしている


「皆さん、無事だったようですね」

巫女様が安堵の表情をうかべ微笑む


「どうでした?迷いの幻は?」


聞き覚えのある声が洞窟に響く

私達が振り向くとそこには神官シルクと父が立っていた


「お父さん!?」

私は父に駆け寄った

父は私の頭をポンポンと撫で優しく微笑む


「カリン。記憶が戻ったそうだね。良かった」

「お父さん、これはいったいどういうこと?」

「すまないカリン。私は試したかったんだよ・・・・・カリンと勇者の本当の心を」

そう言うと父はゆっくりとアキラの元に歩み寄る


「勇者よ。大体はシルクから聞いた。カリンを大切に出来るのか?迷いは無かったのか?」

真剣な眼差しでアキラを睨む父に対して、アキラは少し顔を歪めた


「わたしはカリンの父親として、カリンに幸せになってもらいたいのだ。迷いがあるという事は覚悟が足りないのではないか?」

その言葉にアキラはピクッと反応して、鋭く父を睨み返し


「正直、迷いはあります。しかし、カリンを・・・・・いや、香織(カリン)と幸せになると誓ったのです。俺は今でもその誓いを守りたい。例え何があっても」


アキラの言葉に胸を締め付けられる思いだった

私は前の世界でアキラが好きで結婚したのだ、結婚して3年たって好きとかそういう気持ちが薄くなっていたのは確かだけど、一緒に年をとるパートナーと認めていたのだ

たとえ、過ごす世界が変わったとしても・・・・・

私はアキラをみた

アキラは照れくさそうに私に微笑んだ


神官シルクが父の肩に手をのせる

「本当は勇者アキラとカリンふたりだけが洞窟に来る予定だったのですが、予想以上にお客さんが多かった様ですね」

魔法使いゼロ、巫女様を見て、エル王子に視線を移し目を細める


「ここ幻の洞窟は心理の泉から出る霧で心の迷いを幻として見せます。その幻を見た時、本当の自分の気持ちと向き合える・・・・・事もあります。カリン貴方のお父さんに頼まれてましてね。」

神官シルクはニコリと微笑み私達を見た


アキラの幻どんなだったか想像すると・・・・ムフフな感じです。

エル王子の幻は番外編で書いてもいいですか?ふっふっふ・・・・・

もっと言うなら、父ロイドと神官シルクは暴走ものになりそうなので書くかは未定です笑

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