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プロローグ
「お前は俺が膝をつく唯一の女だ。」
夜の海を背に、片膝をついた彼はそう言った。
驚いた。誓いの言葉を、改めて口にするような人だとは思わなかったから。
「何があっても、人生を共にする。それは変わらない。俺と、結婚してくれるか?」
誰もいない浜辺。灯一つない暗闇に、指輪だけが小さく煌めいていた。
捻くれた玲の好みを、知り尽くしていることが分かる指輪。
プロポーズのシーンは演じたことがなかった。だから、何を言って、何をしたらいいか分からなかった。
「……秋。」
名前を呼ぶ声が震えた。ぼやけた視界のまま、ただ頷いて手を伸ばした。
抱き寄せられた腕に、見えなかったはずの未来が視えた。




