↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/21

第5話:汗をかいて帰還する


「よし、更に倒していくぞ」


 イムはそう言いながら歩みを進める。

ゴブリンを初めて倒した、これはイムにとって快挙ではあるが世間一般で見るとゴブリンの魔石にそこまで価値はない。


 一つだけしか持ち帰れないなど、赤字でしかないため、更にゴブリンを倒そうと進んでいく。


「……いるな、今度は二体か」


 イムの視線の先、そこには先ほど同様の姿形をしたゴブリンが二体、陣取っていた。


「先手必勝! 炎弾!」


 二体のうち片方に向かって奇術でできた炎弾を撃つ。

案の定、ダメージにはならないがひるんだ隙に片方の首元に短剣を突き立てる。


「グギャ!?」


「グギャァ!?」


 そして片方にダメージは与えたものの、トドメには至らず、無事な方もイムに気づき警戒したように構える。


「っち、仕留めきれないか。なら! ゴブリン召喚!」


 そう言いながらイムは、目の前のゴブリンそっくりな幻影を一匹生み出し、無傷のゴブリンを襲わせる。


「グギャ!?!?」


 目の前でいきなり同族が生まれたと思ったら襲い掛かってきたことに驚愕を隠せず鳴き声を挙げながら後退するゴブリン。


「よし、今のうちに……オラッ!」


「グギッ」


 すでに手負いだったゴブリンを仕留める。

その後混乱していた残ったゴブリンもファイヤーボールをぶつけながら横から奇襲、仕留めることに成功する。


「……何とか、二体までなら勝てるな。三体になると厳しいか……?」


 現在の状況を一人つぶやくイム。


 三体になると厳しいと判断したイムは、二体以下の群れを狙い、その後もゴブリンを狩っていく。

 合計で二十体ほど倒し、魔石を得て今日のところは帰還することを決める。




「おっ! 坊主、帰ってきたか! もうそろそろ暗くなる時間だからな、安心したぞ!」


 もう日も落ちかけ、夕暮れに差し掛かった時間帯になったあたりで町まで帰還した。


 行きと比べても汗をかいたこともあり更に薄汚れ、臭いも少しするイム。

そんなイムに対して、門番のダレルは快活に笑い、無事を喜んでくれる。


「おっちゃん、おう! 任せてくれよ! ゴブリンも余裕だったぜ!」


 そんなダレルに、内心感謝をするイムは、ゴブリンを討伐したと笑顔で伝える。


「そうか! じゃあこの後ギルドに行くんだな、気を付けろよ!」


「おう! ありがとな!」


 手を振って見送ってくれたダレルにイムも手を振りながらそう返す。

その足が向かう先はギルドだった。



「……ご用はなんでしょうか?」


「これ、ゴブリンの魔石だ! 納品させてくれ!」


  昼と同じ受付嬢のマリナは、イムのその恰好や臭いから不快だという気持ちをそこまで隠さずに対応する。それにはイムも気が付いていたが、そんなことはおくびにも出さずに笑顔で納品をお願いする。


「……承知いたしました、査定いたします、少々お待ちください」


「ありがとな!」


 そして待つこと一分ほど。


「確認が取れました、ゴブリンの魔石二十個の納品ですね。銅貨四十枚となります。銀貨でのお渡しもできますが、どうされますか?」


「銀貨で頼む!」


「承知いたしました」


 そしてマリナはトレーに乗せた銀貨四枚を、カウンター越しにイムへと差し出す。


「ありがとな! またよろしく頼む!」


「……」


 それを受け取ったイムは、笑顔でマリナに礼を言い、その場を後にする。

それを見送るマリナの表情は、少しだけ、嫌悪感以外の感情が乗っているようであった。




「ただいま!」


 孤児院に帰ると、イムは大声でそう言った。すると、孤児院の奥からドタドタと騒がしい足音が。


「兄ちゃん!」

「お兄ちゃん!」


 イムを見るや否や、走ってきたジルとチルアはイムのことを呼びながら思いっきり抱き着いてきた。


「おっと、ただいま、二人とも」


「兄ちゃんだいじょうぶ!?」

「けがない!?」


「お~う、大丈夫だぞ~。怪我もないしゴブリン沢山倒してきたからな!」


不安そうなジルと、もう泣きそうになっているチルアにイムは優しく笑いかけ頭をなでる。


「イムにい良かった、帰ってきた」


「はは、クレラも知ってるだろ? 兄ちゃんは勇者の生まれ変わりだからな、最強だぞ!」


 ジルとチルアに一歩遅れてシスターときたクレラも、イムの顔を見ると安心したようにつぶやく。そんなクレラにもいつも通り、疲労も何も悟らせない笑顔で見栄を張るイム。


「ほらほら皆、イムも疲れてるんですよ、話はあとでになさい。ほらイム、湯の準備はできてますから入ってきなさい。疲れたでしょう?」


「お、シスターありがと! あ、コレ今日稼いできたお金ね! シスターに渡しとく!」


 ぼろぼろで汗をかいたイムの格好を見て、そうなると想定していたシスターはすでに湯の用意ができているとイムに伝える。そしてイムは、革袋に入れていた今日得た稼ぎをすべてシスターに渡す。


「……ありがとうございます、でもイム。無理はしないでくださいね」


「任せとけって! 俺は魔法も自由に使えるんだぜ? よゆーだよ! ほら、ジル、チルア、俺体流してくるからまた後でな!」


 そう言って弟妹を丁寧にどかし、イムは体を流しに行く。

そんなイムを未だ心配そうに見つめるのはシスター。弟妹はイムがゴブリンを倒してきたと聞き、どんな冒険をしたのか聞こうと盛り上がっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。