表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

第9話:神の目(スターリンク)の強制ジャック

総統府の地下深くにある、巨大な中央通信室。


無数のモニターが、無機質な青白い光を放っている。


◆ ◆ ◆


官邸テラスで、頼玄徳の重く確かな覚悟を聞いた。

歴史的大罪の泥を、彼は共に被ると宣言したのだ。


ならば、最高の結果で応えるのが影の軍師の役目だ。


夜明けとともに、習孟平は台湾を悪者にする映像を流す。

その前に、俺たちが先手を打って真実を世界にバラ撒く。


◆ ◆ ◆


「スターリンクの衛星網を奪うなど、絶対に不可能です!」

通信局の長官が、血相を変えて叫んだ。


「米国の最高機密だ! 物理的な防壁すらあるのに!」

「それに、世界の電波網を同時にハッキングするなど……」

技術者たちが、絶望的な顔で首を振っている。


彼らのいうことは、現代の常識では完璧に正しい。

だが、俺の脳内にあるのは2046年の『記録』だ。


「……常識は捨てろ。俺がすべて繋げてやる」

首筋の生体インプラントに、静かに思念をおくる。


青白い熱が走り、イーロン・リンクが起動した。


「V4世代の演算力で、すべての暗号を量子解体する」

俺が呟いた瞬間。


室内の全サーバーが、悲鳴のような駆動音を上げた。

漏洩電磁波のノイズが、青白い火花となって明滅する。


「なっ……物理遮断エアギャップが突破されただと!?」

「20年かけた最強の暗号が、たった0.003秒で……!」

「TEMPEST攻撃か!? 電源線のノイズから侵入している!」


「嘘だろ!? 世界中の衛星群が、一瞬で乗っ取られたぞ!」

技術者たちの悲鳴に似た絶叫が、通信室にひびき渡る。


「これは神の仕業か、それとも最悪の犯罪か……っ!」

圧倒的な情報の非対称性が、エキスパートの常識を粉砕したのだ。


「……空にある『神の目』は、すべて俺が掌握した」


中央モニターに、地球を覆う無数の衛星が青白く点灯する。

世界のすべての画面を、俺の指先が支配した瞬間だ。


だが同時に、じわりと首筋が焼け焦げるような激痛を持つ。


地球規模のジャックによる、脳が焼き切れるような代償。

視界が歪み、俺は機材のラックに手をついて崩れ落ちそうになる。


『無茶をするな、キッド。少しだけリソースを肩代わりしよう』

脳内に、透明な羽扇をあおぐイーロンの声がひびいた。


青白い熱がスッと引き、狂っていたサーバーの音が安定する。


『おや。裏回線から、僕のコードを覗き見している小悪魔がいる』

視界の端で、柴犬のアイコンが一瞬だけポップアップした。


『未来の防壁を、直感だけでこじ開けようとしている』

『……なかなか見込みのある女の子だ』

『そういえば君も先日、散々からかわれていたよね』


イーロンの言葉に、俺はパーカーを着た少女を思い浮かべる。

小飛。まさかあの生意気な少女が、未来技術にまで干渉するとは。


そのとき、小梅がそっと背中を支えた。


「無茶ばかりして。……倒れるなら、私の方に倒れなさい」

不器用な気遣いとともに、確かな体温が伝わってくる。


最愛の彼女の破滅まで、あと994日。

【読者のみなさまへ】

「面白い」「続きが気になる!」と思ってくださったら、

ページ下部にある【ブックマーク登録】や、【評価システム(★★★★★)】で応援していただけると、執筆の非常に大きな励みになります!

何卒よろしくお願いいたします。

◆【作品をより深く楽しむための補足ページ】

本編の戦況マップ、地政学・ミリタリーの裏設定などはX(旧Twitter)にて随時公開・更新しています!

ぜひこちらもチェックしてみてください。

▼作者X(旧Twitter)アカウント

https://x.com/shinsannov

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ