第16話:【閑話】VR空間の趣味全開バニースーツ姉妹
光の帯が流れる、無機質で冷たいサイバー空間。
日本への出立を控え、システムの最終調整を行っていた。
◆ ◆ ◆
前回、イーロンからリスク分散のコードを教わった。
『自分の好きなものをイメージしろ』という神のアドバイス。
それを忠実に守った小飛が、新しいアバターを構築した。
だが、今回ログインしているのは俺たちだけではない。
◆ ◆ ◆
「おまたせ! 志郎おじさん!」
光の粒子が収束し、小飛の姿がサイバー空間に現れる。
俺は絶句し、思わず視線をそらした。
彼女が着ていたのは、光沢のある黒のバニースーツだった。
普段のだぼだぼのパーカーとは違う、過激すぎる露出度。
滑らかな黒の生地が、17歳の未完成なボディラインに密着している。
胸元は無防備に谷間を作り、背中は腰まで大胆に開いていた。
頭には大きなうさ耳、足元は黒の網タイツと高いピンヒール。
小悪魔の微笑みとともに、丸いしっぽがふりふりと揺れている。
「えへへ! 師匠のアドバイス通り、趣味全開にしてみたよ!」
目のやり場に困る俺の横で、もう一つの光の柱が立ち上る。
「……軍師サマ。監視のために私もダイブしたわよ」
現れたのは、台湾総統直属のSPである小梅だ。
だが、彼女の姿を見た瞬間、俺は完全に思考が停止した。
「ちょっと小飛! な、なんなのよこの格好は……っ!」
小梅が顔を真っ赤にして、自分の体を隠すようにしゃがみ込む。
彼女が着せられていたのは、純白のバニースーツだった。
純白の光沢生地が、鍛え抜かれたSPの肉体に密着している。
豊満な胸元が、息をするたびにこぼれそうに揺れた。
引き締まった腰から伸びる、網タイツ越しのしなやかな脚線美。
普段の漆黒のスーツ姿との、あまりにも暴力的なギャップ。
高いポニーテールには、白いうさ耳がピコピコと揺れている。
恥じらいで潤んだ氷の瞳が、俺をきつく睨みつけていた。
「あはは! お姉ちゃんも強制的に巻き込んじゃった!」
「SPの威厳が台無しじゃない! すぐに解除しなさい!」
「無理だよー。このコード、師匠のロックがかかってるもん」
小悪魔のように笑う小飛と、涙目で俺を睨みつける小梅。
白と黒のバニースーツを着た、美しすぎる姉妹の挟撃。
21歳と17歳の健康な肉体が、危険な警鐘を激しく鳴らす。
『最高にエキサイティングな眼福だね、キッド』
裏回線から、イーロンの爆笑する声がひびいた。
未来の神も、この状況を全力で面白がっている。
「……孔明。今すぐログアウトさせろ。理性がもたない」
俺がうめき声を上げると、小飛がうさ耳を揺らして抱きついてきた。
豊かな胸の感触が腕に押し付けられ、甘い香りが鼻をくすぐる。
「えー? おじさん、耳まで真っ赤だよ? 脈拍も上がってるし」
「あんた、どこ見てるのよ! 目を閉じなさい!」
純白の脚による強烈な回し蹴りが飛んできて、俺の意識は途絶えた。
◆ ◆ ◆
現実に戻り、VRギアを外した。
視界の端で、顔を真っ赤にした小梅が俺を睨みつけている。
「……あんたの脳波データ、あとで全部消去しておくからね」
「俺は被害者だ。勝手に巻き込まれただけだ」
俺が顔を背けると、小梅がもじもじと視線を泳がせた。
「……で? その……似合って、た……?」
顔をさらに赤くして、自分の衣装の感想を求めてくる。
俺は思わず言葉に詰まり、視線を宙にさまよわせた。
強烈すぎた純白の記憶が蘇り、理性が再びバグを起こす。
「あー……その、なんだ。……悪くはなかった、と思う」
目を逸らして曖昧に答える俺の顔に、冷たいタオルが飛んできた。
「……っ、この朴念仁!」
最愛の彼女の破滅まで、あと986日。
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