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神権派クーデター、王宮監禁開始

「アッシュ神を、玉座に永遠に固定せよ!!」

「我らが不信心ゆえに、神の奇跡が遠ざかっているのだ! ならば我々が、神を物理的な鎖で玉座にお縛りし、朝から晩まで賛美の祈りを捧げ続けねばならない!」

 神務庁の窓から見下ろす王都の広場では、数千人を超える『過激神権派(アッシュ万歳教)』の白装束たちが、松明と祈りの杖を掲げて狂ったようなデモ行進を行っていた。

「愛が……愛が重すぎる……」

 俺は窓のブラインドの隙間からその光景を覗き見て、ブルッと身震いした。

 ヤンデレなのか。あの数千人のおっさんや若者たちは、全員揃って『アッシュ様が遠くに行っちゃうから、監禁してずっと一緒にいようね』というヤバい思考回路に到達してしまっているのだ。


「なんと嘆かわしい」

 背後で、エレナが冷ややかな声で吐き捨てた。

「神の御心(分散管理への移行)を理解できず、あまつさえ神の御身を物理的に縛ろうなどと……! あのような不敬の輩、私が王都の気温を一瞬で氷点下にまで下げて全員大人しくさせてやりましょうか!」

「やめろ! 死人が出る!!」

 俺は慌ててエレナの物騒な鎮圧案を止めた。


「しかし、アッシュ卿」

 腕を組んで壁にもたれかかっていたセレスティア王女が、珍しく神妙な顔つきで口を開いた。

「彼らのやり方は過激だが、心底は理解できなくもないぞ」

「殿下!? あなたまで何を血迷ったことを!」

「考えても見ろ、エレナ。アッシュ卿は最近、明らかに何らかの『神の力』を削っている。もし本当に神が天上へ帰還なされるつもりなら、我々人間は自らの無力に絶望し、再び暗黒時代へ逆戻りするだろう」

 セレスティアは真っ直ぐに俺を見つめてきた。

「ゆえに……アッシュ卿。もしあなたが本当に我らを見捨てるつもりなら、私もまた、彼らのように我が剣をもって【あなたをこの玉座の寝室に永遠に閉じ込め、絶対に外へは出さない】覚悟がある」


「……」

 俺は絶句した。

 おい、待て。こいつら(ヒロインたち)も根っこは外の連中と同じ『幽閉監禁ルート』の思考回路じゃないか!


 俺がシステムのクラスチェンジに伴う「事務作業」で疲弊し、表立って無双デリートをしなくなったせいで、狂信者たちの不安感が逆方向に【神を支配(監禁)してでも傍に置きたい】という特大のエラー(執着)を生み出しているのだ。

 システム監査AI(AUDIT)の野郎は、こうなることまで予測して俺に権限の分散を命じたのだろうか?


【System:Warning。対象『王都中央広場』にて、膨大な魔力結合を検知。広域防壁結界および質量変動魔法が詠唱開始されました】

 突如、俺の視界に真っ赤な警告ログがポップアップした。

「な、何事だ!?」

「アッシュ様! 外の神権派たちが、ついに実力行使に出ました!!」

 ゼノンが血相を変えて飛び込んでくる。


 窓の外を見ると、王宮をぐるりと取り囲んだ数千の神権派魔導師たちが、一斉に複雑な魔法陣を展開していた。

 それは空を覆う巨大な【絶対防御結界】であり、同時に【王宮一帯の空間を外部から完全に切り離す(ロックアウトする)】特大の監禁魔法だった。


「おおおお! 我らが愛と祈りで、神の御座を完全に封鎖するのだ!」

「これでアッシュ様は、永遠に我々の王都から逃げ出せはしないぞぉぉぉっ!!」

 狂喜の叫びと共に、王宮全体が分厚い黄金の光のドームにすっぽりと閉じ込められていく。

「マジかよ……クーデター(監禁)決行のスピードが早すぎるだろ!」


 俺がシステム権限を奪われつつある中、まさかの『人間の過剰なバグ』による軟禁事件が勃発。

 そして事態はこれで終わらない。

 俺を監禁する【神権派】の結界の外側──王都の市街地から、この好機(結界が張られて軍が動けない隙)を狙っていた『別の集団』が、凄まじい殺意と共に押し寄せてきたのである。


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